目次
はじめに
これを記事にするかどうか、この数日本当に悩みました。
ですがどんなに叩かれても責められても、業界とは何の関係もない幣サイトが書くしかないでしょう。
それが何かと言えば、オレはプロだと言いながら安直にISO感度を上げて撮る輩が多すぎるという事です。
これが目立たない存在ならまだしも、それを堂々と公言してまるで模範の様にうんちくを垂れられたら、さすがに一言述べたくなるのは分かって頂ける事でしょう。
ましてやそれで収益を得ているのですから、問題を指摘される覚悟はそれなりにおありでしょう。
屋外200mm F2.8 1/500秒 ISO400の妥当性
先ずは下にありますプロ写真家がアップしたYouTube動画をご覧下さい。
なお予めお断りしておきますが、この動画を選んだのはたまたまYouTubeの検索で引っ掛かっただけで、他意はございません。
このため、これから似た様な動画をいくつか載せておきますので、ご安心ください。
さて本動画ですが、前半のモデルが動いているときでしたら、200mm F2.8 1/500秒 ISO400 でしたら、まー許せるでしょう。
問題は中盤(4’37”頃)にあります、モデルがしゃがんでいるシーンです。
被写体が停止していながら、70mm F2.8 1/320秒 ISO400はないでしょう。
ここは当然ながら、70mm F2.8 1/80秒 ISO100で撮るべきです。
【手振れ防止?】
そう言うと、中望遠70mmの1/80秒だと手ブレが心配だとか言われるのかもしれませんが、だったら何のために高価な数段分の手振れ補正機能を有したカメラを使っているのでしょうか?
こんなときこそ、手振れ防止効果を活用すべきでしょう。
【被写体ブレ防止?】
また同じく中望遠70mmの1/80秒だと被写体ブレが心配だと思われるかもしれません。
ですが、被写体ブレはレンズの焦点距離で変わるものではなく、画面内の被写体の大きさによって変化します。
すなわち、200mmの望遠レンズで撮ろうが、24mmの広角レンズで撮ろうが、画面内の被写体の大きさが同じならば、被写体ブレの程度は同じなのです。
このため、この大きさの被写体がしゃがんで容易に動けない状態でしたら、例え望遠レンズであっても1/80秒で被写体ブレが起きる訳がありません。
【歩留まり向上?】
中には仕事で撮影している以上、歩留まり上げるためにはどうしてもISO感度を上げて撮る事も必要だ、という意見もあるかもしれません。
ですがISO感度を上げてブレとピンボケを防ぐのは、それこそ子供でもできる最も安易な手法なのです。
それと同じ事をプロがやってどうするの、って思いません?
歩留まりを上げると言うと聞こえは良いのですが、それをお金を貰っているプロがやったら、どうみても手抜きとしか言えないでしょう。
【時間が切迫している?】
そうは言っても、プロの現場は時間が切迫しているのでそんな余裕はない、何て言われるかもしれません。
ですが、ISO感度を調整するのに一体何秒かかるのでしょうか?
それを無視してノイズが増えた写真を増産して、果たしてクライアントは喜ぶのでしょうか?
室内自然光50mm F1.2 1/250秒 ISO1250の妥当性
お次はこれです。
同じく静止した被写体で、50mm F1.2 1/250秒 ISO1250はないでしょう。
ここは当然50mm F1.2 1/30秒 ISO150あたりと言いたい所ですが、本当のプロなら50mm F1.2 1/20秒 ISO100でも楽勝でしょう。
それ以前に、もっと窓際の明るい所で撮った方が良いかもしれません。
などと言っていたら、動画を非公開にされてしまいました。
何かマズイ事でもあったのでしょうか?
室内ストロボF7.1 1/160秒 ISO200の妥当性
お次はこれです。
ズームレンズを使っている様なので正確な焦点距離は不明ですが、ストロボ撮影でF7.1 1/160秒 ISO200だそうです。
光量を自由に変えられるストロボ撮影で、何故ISO200に固執するのでしょうか?
是非教えて頂きたい所です。
ここまでくると、もしかしたらISO感度を上げて撮った方が格好いい、とでも思い込んでいるのではないでしょうか?
ちなみにストロボの発光量を同じにした場合、F5 1/160秒 ISO100で撮れます。
ただし本当のプロであれば、カメラ(Nikon Z 9)の能力を最大限引き出すために、ここはF4 1/160秒 ISO64で撮るでしょう。
まとめ
まとめとしましては、
ISO感度を上げて失敗写真を防ぐのはド素人でもできる
にも関わらず、安直にISO感度を上げて撮るのならプロと名乗る資格はない
ましてやそれを公言して収益を得るのはもっての外である
という事です。
なお念のために付け加えておきますと、プロと名乗る方で無理なく自然に最低常用ISO感度で撮られている方もいらっしゃいます。
(全く目立ちませんが)実はこういう方こそ、本当のプロと呼べるのではないでしょうか。
そりゃあ、最新機種で常用感度最低で撮れば一番ノイズが少ないとは思いますが、
じゃあ、(ノイズの多い)旧機種で撮影した過去の写真は無価値なのか、という話になってしまいます。
中判以外(中判未満)を使うカメラマンはプロではない、という理屈も成り立ちます。
なんでそんなに熱くなってるのですか?
いくつかの記事はとても参考になっています。blog楽しみにしています。
何で比較対象をすり変える?
アホか?
横レスで失礼します(元の投稿者さんとは別人です)。
多分最初の投稿者さんの意図は、要するに「写真の良し悪しの本質が低ノイズにあるのか?」と疑問視しているのだと思います。
管理人さんの主張は「低ノイズの方が写真は価値が高い」という前提でないと論理的に成立しません。なぜなら、低ノイズの方が価値が高いからこそ、できるだけ低ノイズになる撮り方(ISO設定)をすべきという理屈だからです。
ですが、その論理を突き詰めると、では最近の機種の方が画質良く低ノイズにとれるのですから、最新の機種で撮った写真の方が過去の古いカメラで撮った写真よりも価値が高いということになります。あるいは、フルサイズより低ノイズで撮れる中判カメラの方がより価値が高いということになります。
でも、それって本当に写真の良し悪しに関係しますか?アレブレボケではないですが、ノイズ以外のもっと重要な要素が有るのではないですか?…というのが、最初の投稿者さんの感じている疑問なのではないでしょうか。
もちろん、管理人さんからすればその主張はズレていると感じるでしょう。なぜなら、管理人さんは要するに「ノイズ以外の条件が全く同じになるような写真が撮れる状況であるにも関わらず、敢えて高ノイズになる撮り方をする是非」を問うているからです。管理人さんの認識ではそのことは自明の話ですから、上記のような主張は意味不明と感じるでしょうし、比較対象がすり替えられていると感じるわけです。
ですが、その場合でも管理人さんの主張が「低ノイズの写真の方が価値が高い」点を大前提に論理を組み立てていることに変わりはありません。また、上記の大前提を持ってプロとしての資格を問うような、良くも悪くも刺激的な論証だったため、最初の投稿者さんのように「この人は写真の価値を他のどんなものよりも低ノイズを重視して考えているのかな?」というあらぬ誤解を抱かせてしまったのではないかと思います。
ちなみに私はこの問題はプロカメラマンをどのように定義するかの問題だと考えます。端的に言うと、プロカメラマンの意義を「失敗しないための装置」であると考える人は過剰に安全マージンをとって高めのISO設定を推奨するでしょうし、「できるだけ画質の良い写真を撮る装置」であると考える人はできるだけ抵ISO設定を推奨すると思います。
どちらが正しいと言うより、どっちに撮って欲しいかを依頼者がお好みで選択すればよろしいかと思います。そうすれば、資格を問うまでもなく、売れている方が正解で、売れない方は自然消滅するだけです。
また、これが写真家であれば、今度はISO設定も含めて自己表現の手段ですから、それこそ撮影者が好きに設定すればいいだけのお話になると思います(撮影後わざわざノイズ乗せる人もいるぐらいですので)。
クライアントが気付かなければ、手抜きは許されると言っているのかね?
ご返信いただきありがとうございます。
> クライアントが気付かなければ、手抜きは許されると言っているのかね?
え、「クライアントが気づかない」なんてあり得ていいんですか?
画質へのこだわりがあるクライアントでさえ気づかないのであれば、要するに画質面で意味がある差が無いということですから低ISOでの撮影を推奨する論拠が崩壊してしまいます。
また、逆に画質へのこだわりがないクライアントが気づかないのであれば、そのクライアントはそもそも画質に価値を見出していないということですから、クライアントの利益にもならないのにカメラマンが勝手に自己満足のために低ISO撮影にチャレンジして無意味に撮影リスクを高めていることになるので、かえってまずいでしょう(撮影失敗のリスクを直接被るには、カメラマンでなくクライアントなのですから)。
ここでは、少なくとも画質にこだわるクライアントなら気づく程度の差は確実にある前提で話を進めます(念の為言っておくと自分は管理人さんのいう低ISO撮影にはそもそも賛成派なのです。この点を誤解しないでいただけると助かります)。
また、プロカメラマンの手抜きは許されないと考えますし、プロカメラマンはクライアントに誠実であるべきだという点において管理人さんと同意見です。
ただし、クライアントによって希望されている誠実の形がそれぞれ違うんじゃないですか、と申し上げています。その上で、後はクライアントの希望とカメラマンとのマッチングの問題であると考えます。
画質を最重視されるクライアントに対して、無駄に安全マージンを確保して高ISO撮影を行うプロカメラマンは手抜き以外の何者でもないことに異論はないです。
他方、撮影の失敗回避を最重視しているクライアントに対して、カメラマンの個人的な思い入れでISOを上げるという子供でもできる簡単な対策すらプロがしないのだとしたら、それは失敗対策の手抜きだと思います。
そして、上記のような不幸なマッチングを防ぐためにも、むしろISO爆上げカメラマンが自らYouTubeなどで名乗り出てくれるなら、クライアントに判断材料を与える意味でむしろ好都合じゃないかと考えます。
その上で、後は自然淘汰に任せるべきであると言っています。最終的に本当に必要とされる方が生き残るのではないでしょうか。
5行以内に要約して送ってくれると、読む人は助かると思うよ。
いつも楽しみに拝見しております。
カメラがフルサイズなら、ISO64でも100でも200でも十分ノイズは少なく、画質差はないと言って良いと思いますよ。
ニコンのISO64は、画質向上目的よりも、F1.4などの単焦点を開放で撮るためのものです。
キューちゃんゴメンね。
今お仕事の話をしてるの。
せっかく丁寧にコメントしたのに、頑固な方ですね。
静止画を等倍拡大する場合を除き、ISO100と200でプロもクライアントも差がないと判断したから、そのように撮っているのでしょ。
ましてや動画で、ISO200や400の映像をモニター以上に拡大するでしょうか。
スゴイぞキューちゃん。
他人の心が読めるなんて。