ソフトボックスにおけるストロボの最適な位置と発光部の形状

2022/05/18

スタジオ撮影をやられた方でしたら、ソフトボックスを使われた事はあるでしょう。

ところでソフトボックスを使うに当たって、一緒に使うストロボとの位置はどうやって決められているでしょうか?

まさか何も考えずに配置しているという事はないでしょうが、ストロボの理想の配置位置とはどこなのでしょう。

また理想的なストロボ発光部の形状はどんなものでしょうか。

今回はその点をクリアにしたいと思います。

放物線とその焦点

突然ですが、放物線をご存知でしょうか。

その昔、学校で習った二次関数(Y=aX2)の曲線です。

ではなぜ放物線と呼ばれるかと言えば、空に向かって石を投げると、この曲線を上下反転したラインに沿って石が飛ぶからです。

またコップの中の水をスプーンでクルクルかき回した時にできる渦の断面も、この形状になります。

この様に放物線は自然界と密接な関係があります。

それはともかくとして、上の放物線のチャートに赤い点があるのに気付いて頂けましたでしょうか。

これは放物線の焦点なのです。

レンズでもないのに、何と放物線には焦点が存在するのです。

ではこの焦点が何をするかと言えば、下の図にある様に放物線の中に平行に入ってきた光は、放物線の内側に反射してこの1点に集まるのです。

放物線の壁に当たった平行光は焦点に集まる

逆にこの焦点から出た光は、平行光線となって放物線の外に出ていくのです。

ヘッドライトの反射鏡、或いはパラボラアンテナの断面が、正にこの放物線になります。

これでなぜこんな話をいきなり持ち出したか、薄々分かって頂けた事でしょう。

ストロボの発光部が平面の場合

ソフトボックスは、広い均一な光の面を作り出せば良いので、断面の形状は何でも良いのですが、大多数のソフトボックスの横姿は、構造上の理由により下の様に放物線に似た形状(正確には三次曲線)になっています。

そうなると、この焦点の位置にストロボを配置すれば、光は平行になって出るかと言えば、そんな事はありません。

何故ならばストロボの発光部が平面なので、(内側にディヒューザが無ければ)ソフトボックスの内側には一切光が当たらないからです。

このため、一般的なフラットな発光面のストロボを使う場合は、ソフトボックスの開口部や内側にディフューザーを張り、内部で光を散乱させるためにストロボはなるべくソフトボックスの根元に付け照射角を拡げる必要があります。

ストロボの発光部が電球の場合

ではソフトボックスで放物線の焦点を利用するためにはどうすれば良いかと言えば、下の様な発光部が電球型のストロボを使うのです。

これによって、ディヒューザ(白布)やグリッドを装着しないで(すなわち光量を落とさないで)、被写体のみを均一に照らす事ができます。

ソフトボックス内側で反射した光は平行に進む

ただし実際には、電球から直接ソフトボックスの外に出る光(下の図の破線の矢印)があるため、少なからず拡散はします。

ソフトボックス内側で反射しない光は拡散する。

これを防ぐためには、下の様に電球の前に小さい遮光用の傘を配置する必要があります。

こうすれば若干中央部が暗くなりますが、平行光線だけになります。

なおここでは電球型の発光部を勧めましたが、下の様にフラットな発光面の表面にディフューザーを装着すれば、電球型に似た効果を出せるかもしれません。

まとめますと、以下の様になります。

まとめ

以上をまとめますと、以下の様になります。

ストロボの発光部が平面の場合

①ソフトボックスの開口部や内側にディフューザーを張る。

②ストロボはなるべくソフトボックスの根元に付ける。

③照射角はなるべく広くする。

ストロボの発光部が電球型の場合

①ソフトボックスを使って平行光線を作るには、電球型の発光部を焦点位置に配置する。

②もしさらに拡散を抑えたい場合は、中心部の光量が多少現象するが電球の前に遮光傘を設ける。

 

コメントを残す コメントをキャンセル

モバイルバージョンを終了