単焦点レンズの画質が良い真の理由

2022/02/20

単焦点レンズはなぜ画質が良いのか?

と訊かれれば、誰もが光学的に複雑なズームレンズより光学性能が上だから、と思われる事でしょう。

35mm F1.8単焦点レンズ(左)と24-105mm F4-7.1ズームレンズ(右)

ところが最近になって、”どうもそれだけではない”と言うより、むしろ別の理由の方が大きい様な気がしてきました。

それは、レンズの明るさです。

例えばここに、一般的な35mm F1.8の単焦点レンズと廉価版の24-105mm F4-7.1のズームレンズがあったとします。


RF35mm F1.8 MACRO IS STM
(0.5倍、305g)

RF24-105mm F4-7.1 IS STM
(0.5倍、395g)

このズームレンズの画角35mmの時の絞り値がF5.0だとすると、下の絞りスケールにあります様に35mmのF1.8と比べると丁度3段暗い事になります。

F1.8とF5.0は、明るさが3段分異なる

という事は、(1段で明るさが2倍、2段で4倍となり)3段で明るさが8倍も異なることになります。

という事は、35mmの画角で撮影する場合、35mm F1.8の単焦点レンズ1本で24-105mm F4-7.1のズームレンズ8本分の光を取り込む事ができるのです。

これを分かり易くイメージで表すと、以下の様になります。

この絵は、かなり衝撃的ではないでしょうか。

たった1本の単焦点レンズで、何と8本分のズームレンズと同じ光量を一気に取り込めるのです。

仮にシャッタースピードが同じだとしたら、光量が8倍多ければ、その分ISO感度を1/8に小さくできますので、手っ取り早く画質を8倍良くできると言っても大きな間違いではないでしょう。

すなわち、例えレンズの光学性能が同じであってもF1.8の単焦点レンズとF5.0のズームレンズを単一の画角で比べると、前者の方が必然的に8倍画質が良くなるのです。

ちなみに、35mm F1.8の単焦点レンズと小三元の24-105mm F4のズームレンズと比べると、明るさは2と1/3段異なりますので、ズームレンズより5倍画質が良い事になります。


RF35mm F1.8 MACRO IS STM

RF24-105mm F4 L IS USM
単焦点レンズの方が5倍画質が良い

 

さらに、同じく35mm F1.8の単焦点レンズと大三元の24-70mm F2.8のズームレンズと比べると、明るさは1と1/3段異なりますので、ズームレンズより依然3倍も画質が良い事になるのです。


RF35mm F1.8 MACRO IS STM

RF24-70mm F2.8 L IS USM
単焦点レンズの方が3倍画質が良い

 

ここまで聞くと、多少不便でも(安くて軽くて画質の良い)単焦点レンズを使ってみようという気になりませんでしょうか。