目次
はじめに
フィルムカメラ時代でしたら、露出に関連して頻繁に操作するのは①絞りと②シャッタースピードだけでした。
ところが最近ですと、それに加えて③ISO感度、④露出補正も操作するようになり、場合によっては⑤WB(ホワイトバランス)も変更したりします。
そうなると、カメラのダイヤルは多い程操作性は良くなると言えます。
そんな訳でダイヤルの多いカメラを調べてみました。
なおダイヤルと言うと、AF選択用やドライブモードの選択用等あるのですが、ここでは露出に関係するものに絞ります。
ダイヤル数の多いカメラ順一覧
露出に関連するダイヤルの多いカメラ順に並べると、以下の表の様になります。
順位 | 種類\分類 | ダイヤル数 | 計 (絞り環含む) | |
本体 | レンズ | |||
1位 | フジフィルム X-Tシリーズ | 5個 | 1個(絞り環) | 5個(6個) |
2位 | SONY αシリーズ | 4個 | 無し(一部絞り環有り) | 4個(5個) |
3位 | キヤノン EOS R3、R5、R6 | 3個 | 1個(コントロールリング) | 4個 |
4位 | Lumix Sシリーズ Lumix Gシリーズ | 3個 | 無し | 3個 |
5位 | ニコン Zシリーズ EOS RR、RP、R7、R10 | 2個 | 1個(コントロールリング) | 3個 |
6位 | フジフィルム X-H2、X-H2S | 2個 | 1個(絞り環) | 2個(3個) |
7位 | OMDS OM-1、OM-5 | 2個 | 無し | 2個 |
ご覧の通りダイヤルの多いカメラの第一位は、全く予想外のフジフィルムのX-Tシリーズでした。
第1位:X-Tシリーズ
という訳で、ダイヤル数の多さの第1位は、フジフィルムのX-Tシリーズです。
これはISO感度、シャッタースピード、露出補正が専用ダイヤルになり、更にボディーの前後にも汎用ダイヤルを備えています。
他社機と比べて使い方が特殊ですが、ハード的には最もコストが掛かっていると言えそうです。
特に専用ダイヤルは、電源ON時に絶対位置を認識しなければならいので、汎用ダイヤルより更にお金が掛かっているのでしょう。
ただしこの操作系の場合、露出設定を一気に変更できないという弱みがあるので、別枠と扱った方が良さそうです。
第2位:ソニーαシリーズ
続いて第2位は、ソニーのαシリーズです。
以前のαシリーズは、専用の露出補正ダイヤルと汎用ダイヤルが3個だったのですが、α7IVから4個の汎用ダイヤルに変わりました。
一般的な使用においては、これが一番なのは間違い無いでしょう。
おまけに一番右側のダイヤル(旧露出補正ダイヤル)は、ロックスイッチまで付いています。
また一部のEマウントレンズには、絞り環の付いているものもあります。
第3位:EOS Rシリーズの上位機種
第3位はEOS Rシリーズの上位機種です。
これらはオーソドックスに、前後ダイヤルが2個と、背面ダイヤルが1個あります。
また全てのレンズに(使い難いながらも)コントロールリングが付いていますので、取り敢えず4項目の露出調整がダイレクトに可能です。
第4位:Lumix
第4位はパナソニックのLumixです。
この場合も前後ダイヤルが2個と背面ダイヤルが1個あるのですが、レンズにコントロールリングが無いのが辛い所です
このため、ISO感度はどうしてもボタン操作が必要になります。
なおLumixは、マイクロ4/3のGシリーズ(2018年以降)にも、しっかり背面ダイヤルが備わっているのは、かなり評価できます。
また余談ですが、Lumixの場合普及クラスのモデルでも、ドライブモード選択ダイヤルやフォーカスモード選択ダイヤルが付いているのは評価できます。
第5位:ニコンのZシリーズ
第5位はニコンのZシリーズです。
ニコンのZシリーズは、フラッグシップ機であるNikon Z 9ですら、残念ながら前後ダイヤルだけで、背面ダイヤルがありません。
これはかなり致命的ではないでしょうか?
確かに全てのレンズにコントロールリングが付いているのですが、それでもカメラ側にダイヤルが二つしかないのは、他社機から乗り換えるにはかなり大きな障害になります。
せめてフルサイズ機には、背面ダイヤルを設けるべきでしょう。
第5位:EOS Rシリーズの下位機種
残念ながらEOS Rシリーズの下位機種は、全て2ダイヤルです。
廉価機は止むを得ないとしても、せめてEOS R7は3ダイヤルにしてほしかった所です。
キヤノンのヒエラルキー(階層性)からすると、この先EOS R7が3ダイヤルになる可能性は限りなくゼロでしょう。
第6位:フジフィルムのX-H2系
第6位はフジフィルムのX-H2系です。
フジフィルムの場合、多くのレンズに絞り環が付いているので、一応三つの項目がダイレクトに変えられる事になるのですが、背面ダイヤルがあれば更に使い易くなるのは間違いありません。
なお同じフジフィルムのX-S10は、左肩に第3の汎用ダイヤルが付いています。
第7位:OMDSのOM-1等
第7位はOMDSのOM-1やOM-5です。
OMDS(旧オリンパス)の機種は、昔から前後ダイヤルのみです。
こうなると、ISO感度と露出補正は必ずボタンを押してからの操作になります。
小型軽量を売りにしているとは言え、上位機種には少なくと背面ダイヤルが欲しい所です。
まとめ
以上をまとめると以下になります。
①ダイヤルが4個あるソニーのαシリーズは、露出系の操作性はExcellentである。
②またダイヤルが3個あるEOS Rシリーズの上位機種、及びLumixシリーズは、Goodと言える。
③ただしダイヤルが2個しかない他機種は、今どきを考えるとPoorと言わざるを得ない。
どうでしょう。「ダイヤル数が少ない方がいい」という設計思想もあるので、その辺を無視して単純に数で比較するのは無理があるように思います(特にニコンの「ボタン押しっぱなし前後ダイヤル操作」に可能な限り操作系を集約する方式の場合は、寧ろその方が操作しやすいので、わざと上位機種ほど余計なダイヤルを排除していると思います)。
背面ダイヤルについては、各社の設計思想により実装が違うように思われますが、その辺はどうなっているのか気になります(SONYの背面ダイヤルの設計意図は分かるのですが、キヤノンは使ったことがないのでよく分からないのです。ニコン方式だと無い方がいいでしょうね)。