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はじめに
既にご存知の様に、グローバルシャッターを搭載したα9 IIIが発表されました。
ネット界隈では、ゲームチェンジャーだの異次元だの最強だの革新的だのモンスターだの未来のカメラと称賛の嵐が吹き巻いています。(いました?)
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当然ながら、この時点でこのカメラを世に出してきたのは、来年のオリンピックに使って欲しいからなのでしょう。
そうなると次なる興味は、果たしてこのカメラが本当にオリンピックに使われるかどうかです。
今回はそれについて、いつもの当たらない予想を述べてみたいと思います。
動体歪がない
グローバルシャッター最大のメリットは、何と言っても以下の3点でしょう。
動体歪が無い、ストロボの全速同調、フリッカーゼロ
そして最大の売りは動体歪が無いという事でしょうが、ハッキリ言ってスポーツ撮影においても大したメリットとは思えません。
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何しろどんなスポーツ撮影においても、フィルム時代より動体歪の発生するフォーカルプレーンシャッターが使われていながら、何の問題も指摘された事がないことからも明らかでしょう。
実際動体歪の作例の多くが、ゴルフのスイング、目の前を電車の横切るシーン、回転するプロペラ、もしくはカメラを素早くパンしたときの電柱の傾きなど、ごく限られたシーンばかりです。
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普段そんなシーンを撮りますか?
動体歪が無い事の一番の用途は、工場の出荷検査においてライン上に流れる部品の形状を正確に測定する監視カメラ用ではないでしょうか。
ストロボの全速同調
ではストロボ全速同調はどうかと言えば、これまたスポーツ撮影では殆どメリットはないでしょう。
何しろ屋外のスポーツでわざわざ日中シンクロで撮る意味もありませんし、屋内の競技場でピカピカストロボを発光さられても困ります。
また敢えて撮ったとしても、下の様に少々気味の悪い写真になります。
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それよりも高感度特性が優れている方が、余程重要でしょう。
フリッカーゼロ
フリッカーゼロについても確かに便利なのですが、ローリングシャッターでフリッカーを消す方法くらい、さすがにプロカメラマンなら知っているでしょう。
そんな訳でグローバルシャッターだからと言って、何か画期的なスポーツ写真が撮れるとは到底思えません。
秒速120コマ
また目玉機能の一つであるブラックアウトフリーの秒速120コマも、JPEG(1100万画素)ですがNikon Z 9やZ 8も対応しています。
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更にAF固定ならマイクロ4/3のOM-1もブラックアウトフリーで秒速120コマ(AF/AE追随で秒速50コマ)に対応しています。
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更に言えば、4K120Pが撮れるカメラならば、ブラックアウトフリーでAFも効いて、撮影時間を気にせず800万画素の写真を撮り続けられるのです。
トレードオフ
それでいてα9 IIIは、画質も高感度特性もマイクロ4/3機並みとなれば、誰が90万円近くもするカメラを買うのでしょうか?
結論
そんな訳で、α9 IIIがオリンピックにおいてニコンとキヤノンの牙城に食い込むのはかなり厳しい様に思うのでした。
またここまで考えると、よくソニーはこの時点でこの様な(労多くして功少ない)カメラを商品化したなと思わないではいられません。
ですが、(ニコンやキヤノンを)追う者の立場としては、やらざるを得なかったのでしょう。
そうは言っても、やはりこれは無謀な賭けだと思わないではいられません。
と散々けなしてきたグローバルシャッターですが、実はこれを多いに活躍できる分野(生産分野以外で)があるのです。
という話を、いつかしたいと思います。
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