4K120PでH.265/Long-GOP/4:2:2/8bitで撮れるカメラはあるのか?

はじめに

動画の記録方式について色々検討した結果、4K120Pでとる場合の最良の設定は以下と決定しました。

項目 ファイル形式 解像度 フレームレート コ-デック フレーム間圧縮 カラーサンプリング ビット深度 諧調
選択肢 MOV 4K 30fps
60fps
120fps
H.264 All-I 4:2:2 10bit SDR
Log
HLG
MP4 FHD H.265 Long GOP 4:2:0 8bit

とは言え、カメラが対応していなければ話になりません。

そんな訳で、どんなカメラが対応しているか早速調べてみました。

α7S III

一番手は動画のソニーです。

α7S III

ソニーの場合はα1α7S III、ZV-E1の3機種が4K120Pに対応しているのですが、取り敢えず代表機種としてα7S IIIの仕様を調べてみます。

α7S IIIの操作説明書の抜粋

するとご覧の通り10bitになりますが、しっかり対応していると言って良いでしょう。

この設定をまとめると、以下の様になります。

項目 ファイル形式 解像度 フレームレート コ-デック フレーム間圧縮 カラーサンプリング ビット深度 諧調
設定 MP4 4K 120fps H.265 Long GOP 4:2:2 10bit SDR

なおソニーの場合、XAVC HSH.265のコーデックになります。

Nikon Z 8

続いては、同じく動画のパナソニックです。

と言いたい所なのですが、生憎フルサイズのLumix Sシリーズには4K120Pで撮れるカメラがありません。

このため、次はニコンです。

Nikon Z 9とZ 8

ニコンの場合、Nikon Z 9Nikon Z 84K120Pに対応しているのですが、値段からしても大きさから言ってもZ 8が妥当でしょう。

Nikon Z 8の操作説明書の抜粋

すると4K120Pについては、帯に短しタスキに長しと言った感じで、ピッタリのものはありません。

近いものとしては、下にありますH.265の代わりにProResになるのですが、これですとファイル容量が大きくなります。

項目 ファイル形式 解像度 フレームレート コ-デック フレーム間圧縮 カラーサンプリング ビット深度 諧調
設定 MOV 4K 120fps ProRes Long GOP 4:2:2 10bit SDR

もう一つは、MOVH.26510bitがあるものの、その場合残念ながら4:2:0です。

項目 ファイル形式 解像度 フレームレート コ-デック フレーム間圧縮 カラーサンプリング ビット深度 諧調
設定 MOV 4K 120fps H.265 Long GOP 4:2:0  10bit SDR

そんな訳で、Z 8においてはこの辺が落としどころになりそうです。

EOS R3

次はキヤノンです

キヤノンの場合、4K120PにはEOS R5EOS R3が対応しているのですが、取り敢えず比較的新しいEOS R3を調べてみます。

EOS R3の操作説明書の抜粋

上の操作説明書の抜粋をご覧頂きます様に、EOS R3の4K120PはALL-Iにしか対応していません。

またカラーサンプリングとビット深度については、別の頁の動画撮影全般の注意事項に記載されていました。

EOS R3の操作説明書の抜粋

これによれば、4:2:0しか対応していない様です。

更にコーデックについては、使用説明書の中には一切記述が無くて、仕様書の中にようやく見つけました。

EOS R3の仕様書の抜粋

それによれば、H.264との事です。

何故他社と同じ様に、動画記録方式が1頁にまとめられていないのでしょうか。

それはともかく、これをまとめると、以下の様になります。

項目 ファイル形式 解像度 フレームレート コ-デック フレーム間圧縮 カラーサンプリング ビット深度 諧調
設定 MP4 4K 120fps H.264 ALL-I 4:2:0  8bit SDR

これを見ると、動画記録方式のチグハグさに唖然とします。

何しろフレーム間圧縮はALL-Iと編集用でありながら、カラーサンプリングは4:2:0と単純な視聴用なのですから。

もしEOS R3が4Kで4倍スローを撮れると思って購入した人が、後からこれに気付いたら、かなりショックでしょう。

ではなぜこんな設定しか選べないかと言えば、恐らくH.264ALL-Iについては圧縮の負荷が軽く、4:2:08bitについてはデータ量が少ない分負荷が軽いからです。

すなわち画像処理エンジン(DIGIC X)の処理能力が、これ以上の設定(負荷)には対応できないのです。

ちなみにEOS R5におても、4K120PにおいてはALL-Iしか撮れません。

更に言えば、今までは4K120Pと安直に書いてきましたが、EOS R3のそれは4K120Pではなくて、正確には120fpsの動画を4K30Pで記録して1/4倍のスローにしているのです。

すなわち、本当の4K120Pではないのも付け加えておきます。

まとめ

そんな訳で、理想に一番近いのが1位がソニー、2番目がニコン、3番目がキヤノンと言えそうです。

ただしキヤノンは、動画において他社より大幅に遅れている、と言っても良いかもしれません。

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