All-IとLong GOP(IPB)の違い

はじめに

弊サイトでは、最近になってようやく動画を撮り始めたのですが、どうも動画で言われている所の常識は何故か間違いが多い様に思います。

その一つが、動画のフレーム間圧縮方法であるAll-ILong GOP(キヤノンではIPBと称呼の違いです。

恐らくある程度動画をやられる方でしたら、All-Iの方がLong GOPより容量が大きいのだから、より高画質だと思われている事でしょう。

ところが、下にありますソニーの説明によれば、編集時の自由度やレスポンスは優れているとあるものの、画質が良くなるとは一言も述べられていないのです。

ソニーのIntraとLongに関する説明

また下にありますキヤノンの説明においても、画質が良くなるとは一言も述べられていません。

キヤノンのAll-IとIPBに関する説明

そんな訳でAll-Iの方が本当に画質が良いのかについて、本サイトが大胆に且つ分かり易く解説してみたいと思います。

Long GOPAll-Iの違い

先ずはLong GOPAll-Iの違いについてご説明します。

下はソニーの公式HPにある両者に関する簡易説明図なのですが、かなり分かり易いのではないでしょうか。

Long GoPとAll-Intraに関するソニーの簡易説明図

上段のLong GOPの2枚目と3枚目のフレームにおいて、背景は1枚目から流用する事にして、1枚目と異なる部分(トマト)だけを記録すれば、データ量を大幅に削減できます。

そしてもし変化している部分と変化しない部分の分離が正確に行われていれば、画質に大きな差は無いと言えます。

何しろ抜き出した画像は、元画像と同じなのですから。

また、当然ながらその場合の圧縮率は一定ではなく、画面内の画像の変化量によって異なります。

具体的には画面全体がフレーム毎に大幅に変化している場合は殆ど圧縮されませんし、画面内が全て静止しているのであれば大幅に圧縮できます。

そしてこのフレーム間圧縮を、ソニー、ニコン、パナソニックはLong GOP(Group of Pictures)と呼び、キヤノンではIPBと呼んでいます。

ちなみにIPBとは、次にご説明しますIフレーム、Pフレーム、Bフレームの頭文字を取ったものです。

一方フレーム間圧縮をしないのをAll-Iと呼び、データ量が多くなるものの動画編集中に復元しないで済む分、編集が楽になるという訳です。

I/P/Bフレームとは

次にフレーム間圧縮の肝と言えるIフレーム、Pフレーム、Bフレームについて、ソニーの簡易説明図にこじつけて簡単に説明しておきます。

Iフレーム(Intra frame

IフレームとはIntraフレームの事で、フレーム間圧縮の基準となるフレームです。

下の図でいうと1枚目と4枚目に当たり、1フレームが画面全体の画像情報を持っています。

Long GoPとAll-Intraに関するソニーの簡易説明図

なおIntraとは、英語で内部を表す接頭語ですが、ここで内部フレームと訳すと意味不明に陥(おちい)りますので、日本語でもイントラフレームと呼んでおいた方が無難です。

Pフレーム(Predicted frame

次にPフレームとはPredicted(予測された)フレームの事で、フレーム間の変化している部分(ここではトマト)の情報が入っています。

また当然ながら、フレーム間で変化していない部分(背景)は、その前にあるIフレームから持ってきます。

Bフレーム(Bi-Directional frame

以前はPフレームだけだったのですが、今ではBフレームも使える様になっています。

BフレームとはBi-Directional(双方向)フレームの事で、 フレームの画像情報をその前後にあるIフレームPフレームから持ってくる事ができ、さらに圧縮できる様になりました。

具体的には、背景はIフレームから、トマトはPフレームから持って来る事にすれば、Bフレームは画像情報を持たなくて済むという訳です。

IPBとは

そしてキヤノンが呼ぶ所のIPBとは、この3種類のフレームを使ってフレーム間圧縮をしている事を意味しています。

ちなみにキヤノンのシネマEOS系ですと、他社と同じ様にLong GOPと呼んでいます。

Long GOPの場合、フレーム間圧縮を15フレーム以上で行ないますので、恐らくキヤノンのIPBはこれより少ないフレーム数でフレーム間圧縮を行なっているのでしょう。

All-Iとは

次はAll-Iです。

All-IとはAll intraだと聞けば、もうお分かりでしょう。

すなわちAll-Iとは、全てがIntraフレームなので、全フレームが1画面分の画像情報を持っているという事です。

そんな訳で、All-Iとはフレーム間圧縮を行なっていないという意味になります。

そうなるとAll-Iは一切圧縮されていない様に思ってしまいますが、この場合もフレーム内圧縮は行われています。

ちなみにフレーム内圧縮はMPEG-2 やH.264、H.265が良く知られていますが、これらはフレーム間圧縮と密接に関係しており、バージョンが新しくなるに連れてフレーム間圧縮の精度も向上しています。

All-ILong GOPの画質の差

では実際にAll-ILong GOPの画質の差ですが、YouTubeにかなり気合を入れて作られた動画がありましたので添付しておきます。

これを見て頂ければ、All-IとLong GOPの画質の差を比べる事自体、今どき余り意味のある事ではないのを分かって頂ける事でしょう。

すなわちビットレートが適切でれば、All-IとLong GOPの画質の差は無いと断言できます。

なお本動画に出てくるさざ波のシーンの様に、画面内が大幅に変化する場合は、フレーム間圧縮を行なっても、もしかしたら全てIフレームだらけになってしまいます。

その場合は、当然ながらデータ容量も同じで、画質も全く同じになります。

なお前記しました様に、これはあくまでもビットレートが適切な場合で、もしビットレートが低過ぎたら画面内が大幅に変化する場合にブロックノイズが発生します。

これについては、以下の記事を参照願います。

動画のビットレートの話(前半)

 

まとめ

それでは、まとめです。

①Long GOP(IPB)とは、フレーム間の変化部分を抽出して画像情報を減らす圧縮技術である。

②All-Iとは、フレーム間圧を一切行わないで全フレームが1画面分の画像情報を保持している。

③このため、All-Iの方がデータ容量が多いものの、動画編集で解凍しないで済む分PCの負荷が少ない。

④また両者の画質については、ビットレートが適切であれば誰にも差は分からない。

⑤ただしいずれの場合においても、ビットレートを下げ過ぎると、画面内が大幅に変化するときにブロックノイズが発生する。

⑥なおLong GOP(IPB)の圧縮率は、画面内の変化量によって異なり、もし画面内全体がフレーム毎に変化する場合はAll-Iと同じデータ量になる。

 

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