目次
はじめに
α9 IIIが発表されて以降、夢のシャッター機構だと思っていたグローバルシャッターが、実はそうでもなかったと落胆された方が多かったのではないでしょうか。
かく言う当ブログも、まさか画質がマイクロ4/3機並みになるとは全く予想だにしていませんでした。
これはすなわち、1画素の大きさが1/4まで小さくなるという事なのですから。
さすがにここまで弊害が大きいと、他社においては現時点でグローバルシャッターをミラーレスカメラに搭載する気は全く無いでしょう。
それを無謀にもやってのけたのは、(以前にも述べました様に)キヤノン、ニコンを追う立場であるソニーだからできた事なのでしょう。
これを果たして快挙あるは英断と呼ぶか、それとも暴挙あるいは蛮勇と呼ぶかは、これからの売り上げ次第なのでしょう。
グローバルシャッターの生きる道
では現時点でグローバルシャッターが全く無駄かと言えば、そんな事はありません。
何しろグローバルシャッターが有効なのは、静止画よりむしろ動画なのですから。
静止画の場合、カメラをパンしながら撮るなんて流し撮りのときくらいなのですが、動画の場合頻繁に行う撮影スタイルです。
そこで垂直の電信柱が傾くのは余りにも不自然です。
また飛行機のプロペラが変形するのも、見ていて気持ちの良いものではありません。
それに対してグローバルシャッターは、動体歪みが全く派生しないのは大きな利点です。
またフリッカーが全く発生しないというのも、室内での撮影では大きな魅力です。
動画はノイズが目立たない
そしてもう一つお伝えすると、動画の場合静止画よりノイズが目立たない事です。
余りにもヒドイノイズだと却って目立ってしまいますが、軽微なノイズだと静止画よりノイズが目立たないのです。
その理由は、動画の場合1秒間に数十枚の写真を見ているのですが、その場合残像効果により複数の写真を加算平均して見ている様になるです。
このためランダムに発生するノイズが平均化されて、目立たなくなるのです。
実際録画した暗めの映画やドラマの再生を途中で止めると、それまで全く気にならなかったノイズが見えて驚く事があります。
そんな訳で、画質が悪くなるグローバルシャッターは、静止画よりむしろ動画の方が向いていると言えます。
グローバルシャッター不要論
ですが、(ここからがいよいよ本題です)ではグローバルシャッターが動画機に最適かと訊かれれば、残念ながらそれについても甚だ懐疑的です。
何故ならば、恐らく今の時点では、グローバルシャッターの撮像素子は、ロールリングシャッターの撮像素子より2倍以上の価格差はあるでしょう。
また動体歪みもシャッタースピードを遅くしてブラせば全く気になりませんし、フリッカーもシャッタースピードを調整すれば消せます。
またノイズが目立たないからと言っても、ノイズが無いのに越した事はありません。
だったら動画に於いても、何も敢えてグローバルシャッターなんか使わなくても、従来のロールリングシャッターで十分です。
実際2016年に発売されたグローバルシャッターを搭載したEOS C700 GS PLは、既に生産中止になっていますので、恐らく殆ど売れなかったのでしょう。
α9 IIIでも動画を撮れるのですが、どうしてもグローバルシャッターを使わなければいけないシーンはかなり限定的でしょう。
まとめ
そんな訳で、確かにグローバルシャッターは静止画より動画に向いているのですが、かと言って今の段階でしたら、たとえ動画機であってもグローバルシャッターはまだまだ時期尚早と言わざるを得ません。
とここまで書いて、アレと思いました。
以前これに似た様な文章を書いた気がします。
すっかり忘れていたのですが、調べてみたら2年前に以下の記事を書いていました。
https://article.photo-cafeteria.com/EOSR1.html
この中で既にグローバルシャッターは時期尚早と言っていたのです。
どうやら予想は当たった様ですと言うべきか、それとも万年同じ事を書いていると言うべきでなのしょうか?
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