目次
はじめに
こんな経験はありませんでしょうか?
複数の人物を絞りを開け気味で撮ったら、端の人物のピントが甘くなっていた。
そんな場合は、絞りを絞り気味にして撮れば良いのでしょうが、そうは言っても背景を可能な限りボカしたいとなると、そんな安直な手は使えません。
そんな訳で、取り敢えず以下にあります3種類の大口径単焦点レンズを絞り開放で使用した場合、被写界深度がどれくらいになるか計算してみました。
そうした所、面白い発見があったので、ご紹介したいと思います。
大口径単焦点レンズの被写界深度
下は、以前大口径レンズのボケ量でお見せしたチャートなのですが、この棒グラブの横に手っ取り早く被写界深度(単位はm)を追記してみました。
これをご覧頂きます様に、例えば全身撮影時の135mm F1.8の被写界深度は70cmで、85mm F1.2と50mm F1.2の被写界深度は47cmです。
ただし上半身となると3本のレンズの被写界深度は12~17cm、バストアップとなるとたった4~6cmですので、これで複数の人物を撮る事は不可能です。
そんな訳で全身撮影以外は、複数の人物を絞り開放で撮るのは止めた方が良さそうです。
同じ大きさで撮ると望遠レンズの方が被写界深度は深い
またここで興味深い事に気付きました。
それは、人物を同じ大きさで撮ると、望遠レンズの方が被写界深度は深いという事です。
ポートレートの場合、背景はボケる、でも人物の被写界深度は深いが理想なので、この意味からすると135mm F1.8が一番ポートレートに向いていると言えない事もありません。
135mmは開放値がF1.8だからという理由もあるのですが、単焦点レンズと言えども望遠になればなるほど暗くなりますので、望遠系の方が良さそうな感じです。
同じ大きさで撮ると50mm F1.2と85mm F1.2の被写界深度は同じ
そしてもっと興味深い事があります。
それは、いずれの場合においても50mm F1.2と85mm F1.2の被写界深度が同じだと言う事です。
ご存知の様に被写界深度は、被写体に近寄れば浅くなり、レンズの焦点距離が長くなっても浅くなります。
このため、両レンズで同じ被写体を同じ大きさで撮るとすると、50mmは被写体に近付き、85mmは被写体から離れるもののより望遠という事で、結局両者の被写界深度は同じになるのでしょう。
ただし当然ながら85mmの方が背景はよりボケるので、被写体を同じ大きさで撮るのであれば、望遠で撮った方が良いという、先ほどと同じ結論に達します。
ここでもっと実践的な話をしますと、例えば開放F値が一定の大三元或いは小三元のズームレンズを使っているとします。
それで複数の人物の背景をボカした全身像を撮るとすると、被写体から離れて望遠側の開放で撮った方が被写界深度は同じまま、背景がボケた写真が撮れるという訳です。
まとめ
それではまとめです。
1. 3本の大口径単焦点レンズを使う場合、複数の人物に絞り開放でピントが合うのは、全身像を撮る場合だけである。
2. 人物を同じ大きさで撮るのであれば、望遠で撮った方が背景がボケ易く、且つ同じ絞り値であれば人物に対して被写界深度を維持した写真が撮れる。
こんな事を知っている方は、恐らくこの記事を読んだ人だけでしょう。
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。