EOS R3と比べて分かるNikon Z 9の堅実性

2021/11/09

はじめに

Nikon Z 9が発表されれて以降、ニコン機とライバル機を比べながら好き勝手な事を言わせて頂きましたが、最後にこのZ 9をキヤノンのEOS R3と比べてみたいと思います。

Nikon Z 9(左)とキヤノンのEOS R3(右)

仕様書比較

そうは言っても、Z 9は4500万画素の高画素機であるのに対して、EOS R3は2400万画素の中画素機です。

項目\機種 Z 9
(2021/12)
EOS R3
(2021/11)
画素数
(型式)
4571万画素
(表面積層)
2410万画素
(裏面積層)
電子幕速度 1/250秒 1/180秒
ISO感度
(拡張)
64-25,600
(32-102,400)
100-102,400
(50-204,800)
メカシャッタースピード N/A 1/8000-30, B
電子シャッタースピード 1/32000-30 1/64000-30
被写体検出 全9種類 人動物鳥車両
メカ連写 N/A 12コマ/秒
電子連写 20コマ/秒
JPEGで30コマ/秒
11MのJPEGで
120コマ/秒
30コマ/秒
手ブレ補正 最大6段 最大8段
ファインダー 369万dot 576万dot
モニター 3.2型 3.2型
210万dot 415万dot
4軸チルト バリアングル
動画
(バージョンアップ対応)
8K30P
(8K60P)
6K60P
ハイスピードフレーム 4K120P 4K120P
価格 70万円 67万円

優れた個所を太字で示す。

このため両者を単純に比較するのはかなり無理があるのですが、ソコはソレ。

何のしがらみも、守秘義務も、スポンサー契約も一切無い幣サイトが、いつもの通り独自の切り口で好き放題語らせて頂きます。

各性能の比較

全体の仕様が見て頂いた所で、個々の性能を比較してみたいと思います。

ISO感度

先ずISO感度ですが、当然ながら中画素機であるEOS R3の方が優れています。

具体的には最大常用ISO感度がEOS R3は102400なのに対して、Z 9は25600と4倍(2段)も異なります。

フルサイズ機のISO感度スパン

この内の1段分の差については、画素数が約2倍異なるからと見て良いでしょう。

残りの2/3段分の差は、Z 9の最低常用ISO感度が64と低めに設定されているからと言えそうです。

この低感度の設定は、高画素機である一眼レフのD850やミラーレスカメラのZ 7にも見られるニコン独自の思想に基づくものです。

4500万画素のNikon D850(左)とNikon Z 7II(右)

では低感度にするとどんな良い事があるかと言えば、精細性が上がるのです。

ちょうど高精細フィルムの感度が、ISO64やISO25の様に低感度だったのと同じ理屈で、感光体の粒子が小さい(1画素が小さい)ほど、ISO感度を下げて受光量を増やさなければならないという訳です。

高精細フィルムの代表格とも言えるISO25のKodachrome 25

これによって、ニコンの高画素機は他社の高画素機より2/3段高精細に撮れると言えます。

そして最後の1/3段分は、Z 9の表面照射型とR3の裏面照射型の差が効いているのでしょう。

もしかしたら裏面照射型こそがこれからの主流で、表面照射型は時代遅れの産物と思われるかもしれませんが、そんな事はありません。

構造上の理由により、表面照射型の方が低感度ではノイズが少ないというメリットがありますし、何より製造コストが断然安いという大きな利点があります。

裏面照射型撮像素子には材質の異なる境界面(上図赤線)が2つあり、低感度でノイズが出易い

すなわちZ 9が低感度なのは、画質とコストを優先するためだと思えば、むしろ好ましく思えてきます。

電子シャッター幕速度

次は電子シャッターの幕速度です。

Z 9の電子シャッター幕速度が1/250秒を達成したというのが、本機の肝の一つだと言えるでしょう。

何しろニコンより先行していると思われていたソニーのα1が1/200秒、EOS R3で1/180秒だったのですから。

これによって他社に先がけてメカシャッターを削除でき、(弊害は一切無く)大幅なコストダウンが可能になったのはご存知の通りです。

そうなると、撮像素子を自社生産しているソニーとキヤノンが何故1/250秒を達成できなかったのか、不思議でしょうがありません。

油断したのでしょうか?

未だ早いと読んだのでしょうか?

それとも、どうしても超えられない技術的な壁があったのでしょうか?

電子シャッタースピード

次に電子シャッターの最高スピードですが、Z 9は1/32000秒なのに対して、EOS R3は1/64000秒です。

そうなると当然EOS R3の方が、1段分優れていると思うのですが、そうでもないのです。

と言うのは、例え真夏のビーチの様に非常に明るい所でも、明るさはせいぜいEV15程度で、そうなるとISO100のF1.2でも、1/24000秒のシャッタースピードで撮れてしまうのです。

真夏のビーチでも明るさはEV15程度

逆に言えば、それ以上のシャッタースピードを使える所は、(無駄にISO感度を上げない限り)自然界には殆ど存在しないという事です。

恐らく大半のカメラにおける電子シャッターの最高スピードが1/32000秒以下なのは、これが理由なのでしょう。

にも関わらず、キヤノンはどの様なシーンを想定して1/64000秒を設けたのでしょうか?

使わない機能ほど、無駄なものはありません。

と以前は書いていたのですが、その後調べてみた所、EV16程度の明るさも現実に存在する事が分かりました。

このためEOS R3の1/64000秒を使う可能性は十分ありますので、お詫びして訂正いたします。

AF性能

EOS R3最大の売りは視線入力かもしれませんが、これにはかなりのコストが掛かっているのは間違いないでしょう。

それでも、この機能が常時使われる程便利なら良いのですが、その昔視線入力を搭載したフィルムカメラのEOS-3を使った経験からすると、甚だ懐疑的です。

何しろフィルム時代と比べて、撮影環境や撮影スタイルに大きな変化はないからです。

と言うより、むしろ最近はファインダー撮影より、モニターを使った撮影の方が徐々に多くなってきた感じすらします。

その観点からすると、Z 9においては、モニター撮影でも有効な被写体検出能力アップ3D-トラッキングを、何一つ新たなデバイスを追加せずに対応したのですから、費用対効果はかなり高いと言えます。

手振れ補正

手振れ補正効果については、EOS R3が最大8段、Z 9が最大6段と、2段分も異なります。

Z 9の手振れ協調制御は最大6段

とは言え、これも大きな差ではありません。

何故ならば、これはあくまでも手持ちで超低速シャッターを使う場合の話だからです。

例えば標準ズームレンズを使って、手持ちで1/4秒とか1/2秒で撮るのであれば、確かに2段分の差が出るかもしれません。

ところが、少なくと1/30秒以上で撮っている限り何の違いも生じないのです。

もっと言わせて頂ければ、どうみても手振れしないであろう1/125秒以上で撮っていれば、手振れ補正は何も機能していないのです。(何しろ元々ブレていないのですから)

またご存知の様にニコンのZマウントは、キヤノンのRFマウントより僅かながら径が大きいので、その気になればキヤノン機以上に手振れ補正効果を高める事が可能かもしれません。

ですが、そうなると当然開発コストが掛かりますので、むしろこの程度の補正効果に抑えた事に拍手を送りたいくらいです。

ファインダー/モニター

同じ事はファインダーやモニターの解像度にも言えます。

いずれもEOS R3の方が高解像度なのですが、そんな高画素の表示パネルを使えばその分コストも跳ね上がります。

かと言って、そのコストに見合った良い写真や動画が撮れるかと言えば、そうでもありません。

実際Z 9の369万ドットのファインダーと210万ドットのモニターを使って、不満になる事はまずないでしょう。

そんな事よりモニターをもっと明るくしてくれた方が、余程価値があります。

そんな訳で、フラッグシップ機でありながら妥当な解像度に抑えているZ 9に、ますます好感を覚えるのでありました。

チルト式背面モニター

そしてトドメが4軸のチルト式背面モニターです。

縦位置でも上面90度に向くZ 9の4軸チルト式背面モニター

何故かキヤノンはバリアングルモニターに固執していますが、使い勝手が良くて構図を決め易いのは間違いなくチルト式です。

それをしっかり認識していてくれるのは、さすがニコンと言いたい所です。

動画性能

最後に動画性能ですが、これについては今どき8K動画を撮る方は限りなく少ない事を考えると、Z 9は無駄と言えます。

と言いたい所ですが、そうでもありません。

先ずZ 9の4K30P動画は、8Kのオーバーサンプリングから成り立っています。

この場合、中途半端な6Kや5Kのオーバーサンプリングと違って、3色揃ったベイヤー配列の4画素をひとまとめにして4K動画にできますので、理論上画質が良いのは間違いありません。

8Kのオーバーサンプリングの4Kは、ベイヤー配列の4画素をひとまとめにできる

またもう一つの利点は、この8K動画を4K動画のソース用として使う場合です。

8Kで撮っておけば、画質の劣化なく4Kでの2倍ズーム、パン、チルトが自由自在に行える

上にあります様に、8K動画は4K動画に対して上下左右に2倍の余裕がありますので、例えカメラを固定して撮っていても、後で4Kに編集する際、2倍のズームやパンやチルトが画質の劣化なく自由に行えるのです。

これに対して、6K動画でしたら、上下左右に1.5倍の余裕しかありませんので、その差は歴然です。

まとめ

それではまとめです。

Z 9は他社に先駆けて電子シャッター幕速度1/250秒を達成し、メカシャターを削除した野心作であるものの、その他は極力無駄を排した(コストアップを抑えた)画質優先の堅実的なカメラである。

それに対してEOS R3は、実際に役立つかどうか不明な視線入力を復活させたり、高価な高解像度のファインダーやモニターを採用したり、殆ど使いみちはないであろう1/64000秒の電子シャッターを搭載したりと、高価な割には無駄の多いカメラである。

6件のコメント

こんにちは。

R3の視線入力が無駄(コスト)であるこことは明らかです。これを積極的に使う意味もないと思います。ただ、「こんなシステムすごいだろう?」「他社はできないでしょう?」というキャノンの見栄にしか思えません。

かって私はEOS 7の輸出仕様を使っていました。視線入力がいらないから、じゃまだからです。

ますますZ 9が欲しくなります。

私も正直視線入力は無駄だと思います。タダでさえCanonのフラッグシップ級の機体にはジョイスティック、スマートコントローラーの2つの入力ソースが有ったのに、更に増やす必要性はないと思いますね。
でも発想は面白いと思いますし、技術的にも素晴らしいとは思いますが、それと実用性は別です。

『縦位置でも上面90度に向くZ 9の4軸チルト式背面モニター』そこまでする前に、縦位置に構えて撮影することを無くそうとは考えなかったのでしょうか。
(縦長で撮影することを無くすことではありません)

規格(長方形)サイズのフィルムからカメラメーカーで独自サイズにできるデジタル画像センサーに変わったのですから、正方形の画像センサーにしてボタン操作で縦・横位置を切り替え(トリミング)れば良いのではと思います。
(RAWは正方形での保存もできるのが望ましい)

放熱、大容量バッテリー搭載、重いレンズとのバランスなどの観点から限度はあるでしょうが、縦位置グリップが無くなれば更に小型・軽量(・安価?)になります。

ただ、フルサイズセンサーとは言えなくなります。
(36mm x 36mm でフルサイズ相当でしょうか)

価格ドットコム12月での比較を見るとZ 9 選択です!(買えれば、以前高嶺の華〜、、)
α1 ILCE-1 ボディ
最安ショップ:アウトレットプラザ¥757,190

EOS R3 ボディ
最安ショップ:マップカメラ¥673,200

Z 9 ボディ(未発売)
最安ショップ:マップカメラ¥628,650

EOS R5 ボディ
最安ショップ:アークマーケット¥439,806

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