視線入力の費用対効果

2021/09/20(月)

お待たせしました。

いよいよEOS R3のお話です。

ネットを見ると、EOS R3の視線入力をベタ褒めする記事が溢れています。

確かに瞬間的に被写体を切り替えられる事は、便利なのは間違いありません。

ところが忘れてならないのは、これらのベタ褒め記事においては、誰一人自腹でEOS R3を購入していない事です。

そりゃー、値段を全く考慮せずに評価すれば、こんな記事になるでしょう。

ましてや、次回もまたキヤノンから貸出機を回して貰わなければならないので、そうそうネガティブな事も書けません。

また発売直後になれば、自腹で買ったYouTuber達がこぞって褒め称えるのでしょうが、それも視聴回数稼ぎが目的なのですから、動画をアップしたらさっさと高値で売却するのでしょう。

すっかり前置きが長くなってしまいましたが、何が言いたいかと言えば、視線入力はコストと使用頻度を考慮して評価しなければならないという事です。

推測ですが、EOS R3のファインダーは接眼部が大きくなり、瞳を検知する発光部や受光部を備えており不随する専用のカスタムICまで含むと、原価だけで数千円、もしかしたら1万円近くはするかもしれません。


EOS R3の視線検出光学系

これに開発費や販売台数等を考慮すると、これだけで4~5万円は高くなっていそうです。

75万円の内の5万円だと割合としては小さい様に思えますが、この視線入力だけのために5万円払うかと訊かれれば、どなたもかなり悩まれるのでしょう。

確かにあれば便利なのは間違いないでしょうが、何もそれを使わなくても代用する手はいくらでもあるからです。

またスポーツ撮影の様に瞬間的に被写体を切り替える場合はどうしても必要かもしれませんが、一般人がそんなにスポーツ撮影などするものでしょうか。

やると言われる方もいらっしゃるでしょうが、その頻度はどれくらいでしょう?

せいぜい1年に数回あるかないか程度ではないでしょうか。

さらにその中で、下の写真の様に二つの被写体がちょうど良い塩梅(あんばい)で、前後に並んでくれるシーンに遭遇できる確率はどれくらいでしょうか?


殆どの場合、団子状態か単独でしょう。

そんな訳で、幣サイトの結論としては、視線入力はあれば便利だが、コストと使用頻度に見合う価値はないとしたいと思います。

そういう意味では、この様な機構をプロ用モデルであるEOS R3に投入したのは大正解です。

何故ならば、一般ユーザーが(一部のユーザーのために)そのコストを負担する必要が一切ないからです。

視線入力をベタ褒めするプロやYouTuberの方々は、自らの言動に責任を負う意味でも、是非EOS R3を自腹で購入して末永く使って頂きたいものです。

そういう意味では、もっと値段を高くして頂いても良かったかもしれません。

また、よもやそんな事はないと思いますが、この様に費用対効果の薄い機構を普及機に搭載する事だけは、止めて頂きたいものです。