”被写界深度が同じであればフルサイズ機 と1インチサイズ機の画質は同じになる”の検証結果

参りました。

先日、幣サイトが常々お伝えしております以下の件に関して、同じ2000万画素のフルサイズ機と1インチサイズ機を使って撮り比べをする旨をお伝えしておりました。

フルサイズ機が小サイズ機より画質が良いのは、あくまでも被写界深度が小サイズ機より浅い場合だけであって、画素数と画角と被写界深度が同じであれば、画質は全く同じになる。

このため、ようやく重い腰を上げてやってはみたのですが、色々予想外の事が発生しました。

試験方法

使用するカメラは下にありますキヤノンのEOS R6とPowerShot G7 X Mark IIIです。

ただし、EOS R6に使用したレンズは、RF24-105mm F4L USMになります。

そして両者の被写界深度と画質が同じになる露出設定は、明るい屋外(EV14.3)でしたら以下の様になります。

画角\機種PowerShot G7 X Mark IIIEOS R6
24mmF1.8 1/8000秒相当(1/1000秒+ND8)ISO125F5.0 1/8000秒 ISO1000
100mmF2.8  1/3200秒相当(1/400秒+ND8)ISO125F8.0 1/3200秒 ISO1000

この設定値について簡単に説明しておきますと、1インチサイズ機のF1.8と同じ被写界深度になるフルサイズ機の絞り値は、F1.8を3段絞って(2.8倍して)F5.0になります。(正確には2.9段の2.7倍)

この2.8倍とは、撮像素子の大きさ比率になり、APS-Cサイズなら1.5倍、マイクロ4/3なら丁度2倍になります。

この倍率は、焦点距離のフルサイズ換算にも使えますので、覚えておけば何かと重宝します。

またG7 X Mark IIIの最小常用ISO感度は125なので、絞りを3段絞った事に伴いフルサイズ機のISO感度は125を3段上げて(8倍して)1000になります。(正確には2.9段の7.4倍)

更にG7 X Mark IIIの最高シャッタースピードは1/2000秒のため、明るい所で絞り開放で撮るには内蔵のND8フィルターを使う必要があり、その場合は設定したシャッタースピードの8倍相当の露出になるという訳です。

試験結果

そうやって苦労して(計算して)撮った写真が以下なのですが、お伝えしました様に予想外の事が起きました。

G7X MarkIII 24mm

F1.8 1/8000秒相当(1/1000秒+ND8)ISO125
EOS R6 24mm

F5.0 1/8000秒 ISO1000

ご覧の通り、EOS R6の方が1段近く明るく写るのです。

恐らく露出設定のどこかに計算間違いがあるのだろうと思ったのですが、何度確認しても間違いが見当たりません。

もしかしたらNDフィルターが正確に3段分減光していないのではないかと思ったのですが、単体で確認すると間違いなく3段分減光しています。

ちなみに画角100mmの場合は以下の通りで、24mmほどではないもののやはりEOS R6の方が若干明るく写ります。

G7X MarkIII 100mm

F2.8 1/2000秒 ISO125
EOS R6 100mm

F8.0 1/2000秒 ISO1000

画角100mmにおける露出の差はもしかしたら公差内かもしれませんが、24mmの露出差はどうみても公差外でしょう。

ただし両機のどちらのどこに問題があるか調べるのは容易な事ではないので、この露出差は無視して本来の話に戻したいと思います。

そのためには、この明るさの差を無くさなくてはなりません。

ではこの明るさの差をどうカバー(補正)するかと言えば、シャッタースピードで調整したいと思います。

そうなると誤差が生じるのですが、どんな試験でも常に誤差は生じますので、1段程度の誤差であれば結果に大きな影響はないでしょう。

余談ですが、どんな実験でも予想外の事が起こるのは良くある事です。

そんなときに、うろたえずにリカバリーする度胸(厚顔)も必要です。

補正した試験結果

そんな訳で、シャッタースピードで露出補正したのが、下の写真になります。

G7X MarkIII 24mm

F1.8 1/4000秒相当(1/500秒+ND8)ISO125
EOS R6 24mm

F5.0 1/8000秒 ISO1000

上にあります画角24mmの場合は、G7 X Mark IIIのシャッタースピードを1段遅くしてほぼ似た明るさになりました。

このため残念ながら正確な比較ではないのですが、これを見比べる限り、フルサイズの方がコントラストがある様に見えます。

下は画角100mmのときですが、この場合はG7 X Mark IIIのシャッタースピードを1/3段遅くしてほぼ似た明るさになりました。

G7 X Mark III 100mm

F2.8 1/1600秒 ISO125
EOS R6 100mm

F8.0 1/2000秒 ISO1000

この場合も、フルサイズの方が明らかにコントラストがある様に見えます。

またもう一つ注意して見て頂きたいのは、両者の背景のボケ具合が同じだという事です。

最後に画角100mmの中心部を拡大したものです。

G7 X Mark III 100mm

F2.8 1/1600秒 ISO125
EOS R6 100mm

F8.0 1/2000秒 ISO1000

これもやはりフルサイズの方がクッキリしている様に見えます。

結論

上記試験結果より、被写界深度は同じであるものの、画質はフルサイズの方が上と言えます。

ただし両者はレンズも違えば画像処理方法も違うでしょう。

また順光で撮ってはいるものの、EOS R6はフード有り、G7 X Mark IIIはフード無しです。

そんな訳でここでは、被写界深度も画質もほぼ同じだという事で、終わりにさせて頂ければと思います。

ついでに言わせて頂きますと、試験結果が予想に反した結果になっても、それを受け入れない度胸もときには必要です。

良い子は真似してはいけません。

画質の違いの真相

とここまで書き上げて、ようやく思い付いた事があります。

本試験においては、両機ともピクチャースタイルは風景に設定していたのですが、もしかしたらその中の詳細設定が違っているかもしれません。

そう思って調べた所、案の定EOS R6の詳細設定において、コントラスト、色の濃さ、色あいの3項目をデフォルトより僅かに上げていました。

今回の試験でフルサイズの方が画質が良く見えたのは、恐らくこれが真の原因だと強く思う次第です。

そうなると本来なら残業してでも再試験すべき所なのですが、勝手ながら(面倒なので)本件はこれでクローズとさせて頂ければと思います。

良い子は、決して真似してはいけません。