オーバーサンプリングとドットバイドットでは
どちらが画質が良いのか

2022/01/29

動画の読み出し方法は、オーバーサンプリングドットバイドットのどちらの方が画質が良いのでしょう。

下の様な宣伝文句を読むと、誰もが当然ながらオーバーサンプリングの方が画質が良いと思われる事でしょう。

α7 IVの公式HPからの抜粋

ですが、幣サイトの見解は真逆です。

画質の良いのは、間違いなくドットバイドットです。

できればここで、撮影条件を同じにしたオーバーサンプリングドットバイドットの動画をお見せしたい所ですが、残念ながら貧乏サイトには叶わぬ夢です。

かと言って、こんなに大事な事をいつまでもうやむやにしておく訳にもいきません。

そんな訳で、なぜドットバイドットの方が優れているのかを、小学生にも分かる様にご悦明したいと思います。

業務用動画機はドットバイドット

なぜドットバイドットの方が優れているかですが、これはもう業務用の動画機を見れば一目瞭然でしょう。

例えばRED社のKOMODO 6Kですが、センサーサイズはスーパー35mmで、画素数は6Kフォーマットと同じ2000万画素です。

RED社のKOMODO 6K

という事は、ドットバイドットで読み込んでいるという事です。

また比較的手の届きやすいブラックマジック社のBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K Proは、センサーサイズがスーパー35mmで、6Kフォーマットと同じ2100万画素です。

ブラックマジック社のBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K Pro

国産で言えば、キヤノンのシネマEOS C70は、センサーサイズはスーパー35mmで、画素数はDCI4Kフォーマットと同じ880万画素です。

キヤノンのシネマEOS C70

またソニーのFX3は、センサーはフルサイズの1200万画素で、上下をカットして16:9にすると1000万画素と4Kの800万画素より若干多いものの、ほぼドットバイドットと見て良いでしょう。


SONY FX3

全てを調べた訳ではないのですが、恐らく業務用動画機ならばどれもドットバイドット方式ではないでしょうか。

もしそうだとしたら、業務用動画機メーカーも、そしてそのユーザーもオーバーサンプリングの動画機を全く必要としていないという事です。

この事実だけで、ドットバイドットの方が優れていると、6~7割程度ご納得頂けたのではないでしょうか。

なぜドットバイドットの方が優れているのか

それではなぜドットバイドットの方が優れているのでしょう。

その理由も明快です。

その説明に際して、先ほどのソニーの説明図を見て頂けますでしょうか。

上にあります様に、7Kの画素数は3958×7032で2800万画素です。

一方4Kは2160×3840で800万画素です。

と言う事は、7Kの3.4画素を1画素にまとめれば、4Kの画像に変換できます。

それをイメージで表すと以下の様になります。

7Kオーバーサンプリングのイメージ図

この黒い枠の3.4画素分の色情報を、赤い枠1個の色情報に無理やり変換してやれば、7Kオーバーサンプリングの出来上がりです。

もしかしたらオーバーサンプリングとピクセルビニングは同義語だと思われるかもしれませんが、本来のピクセルビニングは元の画素数(空間周波数)の整数倍が基本なのに対して、これは単に画像が破綻しない様に3.4画素をまとめているだけなのです。

ピクセルビニングのイメージ図

またピクセルビニングとは、解像度を落としてノイズを上げる手法ですので、ノイズが減って解像度も上がるなどあり得ないのです。

なので、もし赤い枠の色情報が欲しいのであれば、(何もそんな面倒な事はせずに)最初から赤い枠を1画素にしてやった方が手間も掛からず、より正確な色情報が手に入るのは誰の目にも明らかです。

これでドットバイドットの方が優れていると、7~8割程度ご納得頂けたのではないでしょうか。

ドットバイドットの誤解

上記の様に同じ大きさの撮像素子であれば、オーバーサンプリングよりドットバイドットの方が画質が良いのは間違いありません。

ただし一部の機種(キヤノンのEOS RやEOS RP)においては、画像をクロップしてドットバイドットで4K動画を読み取る事があります。

EOS Rの4K動画撮影範囲

この場合は、フルサイズをオーバーサンプリングした方が画質は良くなります。

7Kと6Kのオーバーサンプリングではどちらが画質良いのか

それでは次に7Kと6Kのオーバーサンプリングはどちらが画質良いのかを考えてみます。

これも感覚的に考えると、7Kオーバーサンプリングの方が画質が良い様に思ってしまいますが、理論的にはドットバイドットに近い6Kオーバーサンプリングの方が画質は良いと言えます。

オーバーサンプリングはモアレやジャギーが本当に減るのか

ところで、前段でご紹介しましたα7IVの広告記事によれば、”オーバーサンプリングをすれば、モアレやジャギーが少なく、ディテール再現や解像感に優れた4K動画画質を実現する”との事です。

これを読むと、明らかにドットバイドットの方がモアレやジャギーが出易い、と早合点してしまいます。

ですがこの文章には、大事な事が抜け落ちているのです。

それは、何と比較して画質が良くなるのかが、明確に書かれていない事です。

ではこの文章におけるオーバーサンプリングの比較対象は何かと言いますと、画素間引きです。

実際α7IVの広告記事を良く読んでみますと、7Kオーバーサンプリングはフルサイズのときだけで、スーパー35mmではオーバーサンプリングを行なっていない様です。

ではスーパー35mmの場合どうやって4K動画を取り込んでいるかと言えば、スーパー35mmにクロップしても画素数は依然1200万画素(5K)程度ありますので、4Kの800万画素にするために画素間引きを行なっているのです。

ちなみにもし画素間引きによって7Kから4Kに画素数を落とすとすると、横方向にある7画素のうち3画素を間引き(消し)、縦方向にある7ラインの内3ラインを間引けば(消せば)可能になります。

間引き前(左)と間引き後(右)のイメージ画像

ただしその場合は、色情報が所々抜ける事になるので、上の図にあります様に斜め線がギザギザになるのです。

それから比べれば、オーバーサンプリングは比較的元の画質を維持できるという事です。

すなわちこの広告記事は、(ドットバイドットではなく)画素間引きよりオーバーサンプリングの方がモアレやジャギーが少なくて画質が良いと言っているだけのです。

何しろこの記事の中には、ドットバイドットの話は一切出てきていないのですから。

8Kオーバーサンプリングは違う

さて、今まで散々オーバーサンプリングよりドットバイドットの方が優れているとお伝えしたのですが、ここで逆の事をお伝えしなければなりません。

それは8Kオーバーサンプリングで4K動画を生成したときです。

この場合は元の画素数(空間周波数)の整数倍ですので、これこそ正にピクセルビニングの基本中の基本と言えます。

ピクセルビニングのイメージ図

これによって、解像度は1/4になるもののS/N比は2倍に向上します。

さらにこの場合、4画素を1画素にできますので、ベイヤー配列の2×2の4画素を1画素にまとめられます。

ベイヤー配列

そうなるとローパスフィルターの性能次第では、偽色の一切ない4K動画が作れるのです。

8K動画の撮れる機種は今の所、キヤノンのEOS R5とR5C、ソニーのα1、ニコンのZ 9ですが、それらの4K動画の画質がどれくらいのものか見てみたいものです。

まとめ

それではまとめです。

①動画の読み込み方法は、オーバーサンプリングよりドットバイドットの方が画質が良いのは、業務用動画機がドットバイドット方式を採用している事からも明らかである。

②その理由は、複数の小さな画素の色情報をまとめるより、元々大きな1画素の色情報を入手した方が効率が良いからである。

③ただしクロップしてドットバイドットを行なう場合は、当然ながらクロップ無しのオーバーサンプリングの方が画質は良い。

④7Kオーバーサンプリングと6Kオーバーサンプリングでは、理論上ドットバイドットに近い6Kオーバーサンプリングの方が画質は良い。

⑤オーバーサンプリングではモアレやジャギーが減るというのは、画素間引きと比べたときの話である。

⑥ただし8Kから4Kのオーバーサンプリングの場合、ドットバイドット以上に画質が良くなる可能性がある。

この記事が正しいかどうかは、α7IV(7Kオーバーサンプリング)とα7S III(ドットバイドット)、それにEOS R5(8Kオーバーサンプリング)の4K30Pで撮り比べればすぐに分かると思うのですが、誰か撮り比べてくれないものでしょうか。

2件のコメント

サンプリング定理があるので7Kからのオーバーサンプリングでも4K画質は上がりますよ
自然界をドットに写すということはデジタル変換してるのと同じなので

お便りありがとうございます。

”自然界をドットに写すということはデジタル変換してるのと同じなので”、の続きを期待しています。

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