自撮りをすると顔が歪む理由とその対策

はじめに

最近ネット上で、自撮りをすると顔が変形する、或いはブスに写るという投稿を良く見かけます。

その理由としてよく言われるのは、広角レンズを使うからだという記事がありますが、これは大間違いです。

関係するのは距離だけです。

という話をしてみたいと思います。

レンズの焦点距離と変形の関係

下は、距離1m先にあるマネキンを焦点距離24mm、50mm、85mmで撮った写真です。

距離1mのマネキンを左から焦点距離24mm、50mm、85mmで撮った写真

1mとなるとかなり被写体に近いので、広角レンズならそれなりに歪みが発生していると思われる事でしょう。

そんな訳で、歪みの程度を比較するため、顔の大きさを同じにしたのが以下になります。

距離1mのマネキンを焦点距離24mm(左)、50mm(中)、85mm(右)で撮った写真

これをご覧頂きます様に、どのレンズであっても被写体までの距離が同じであれば、歪みの程度は全く同じなのです。

被写体までの距離と変形の関係

それでは次に、マネキンまでの距離が変わると、顔がどう写るかを見ていきます。

下は同じレンズを使ってマネキンを距離を、0.5m、1m、2mに変えて撮ったものです。

マネキンまでの距離が左から0.5m、1m、2m

既にお伝えしました様に、マネキンの形状は距離だけに依存しますので、レンズの焦点距離は何でも良いのですが、ここでは一応全て37mmで撮っています。

さらにこの顔の大きさを同じになる様にトリミングしたのが以下になります。

マネキンまでの距離が左から0.5m、1m、2m

これをご覧頂きます様に、0.5mと1mでは顔つきが若干異なるものの、1mと2mでは殆ど差は分かりません。

そんな訳で、どんなレンズであっても被写体から1m以上離れていれば目立った歪みは生じないと言って良さそうです。

また広角レンズだと顔が変形し易いと言われるのは、広角レンズだと顔が小さく写るので、ついつい近くに寄って撮るせいだと言えます。

広角レンズだとやっぱり変形し易い?

さて、今まで散々顔が変形するのは、広角レンズだからではなく、距離に依存するとお伝えしておきました。

ところが、広角レンズだとやはり1m以上離れても、やっぱり顔が変形するのです。

何をいまさら矛盾した話をするんだ、と思われる事でしょう。

ではそれが何かと言えば、下にあります様に顔が画面の端にあるときです。

1m先のマネキンを24mmレンズの画面端に置いた場合

この場合、下の拡大写真の様に景気良く顔が歪みます。

1m先のマネキンを24mmレンズの画面端に置いた場合のマネキンを拡大した写真

さすがに人物をこんな風に配置する事はないでしょうが、これをご覧頂く様に距離0.5mのときより更に歪みの程度が大きくなります。

この配置のまま焦点距離の長いレンズを使って、被写体から離れて撮れば、歪みは減ります。

卒業アルバム用の集合写真の場合、焦点距離の長いレンズを使って、遠くから撮るのはこのためです。

そんな訳で、顔が画面の端にあって歪むのは、広角レンズ特有の現象と言って良いかもしれません。

そう言うと、やっぱり広角の方が歪むじゃないか、と思う方がいるかもしれませんがそんな事はありません。

もし上と同じ被写体を、同じ24mmの広角レンズを使って、焦点距離の長いレンズと同じ距離だけ離れて撮れば、顔は小さくなるものの顔の変形量は焦点距離の長いレンズと同じになります。

ただし更にマネキンを画面の端に寄せれば、また歪は大きくなります。

そんな訳で、歪の量は焦点距離には依存しないものの、現実的には広角レンズの方が顔を隅に置き易いので歪易い、と言えばご納得頂けますでしょうか。

すなわち、実際の撮影においては、画角の広い広角レンズを使うと顔を端に置いて歪ませてしまう事があるものの、本質的にはレンズの焦点距離には依存しないという事です。

まとめ

以上をまとめると、以下の様になります。

1. 被写体までの距離が同じであれば、レンズの焦点距離が変わっても被写体の形状は全く変化しない。

2.すなわち、 広角レンズだから歪みが発生し易いのではなく、(レンズの焦点距離に関係なく)被写体に近寄り過ぎるから歪みが生じるのである。

3. なお被写体が画面中にある限り、被写体から1m以上離れれば気になる歪みは発生しない。

3. ただし広角レンズにおいて、画面の端に被写体を配置すると顕著な歪が生じるが、これも焦点距離の長いレンズと同じ距離だけ離れれば同じ歪量になる。

総まとめとしては、被写体の歪みはレンズの焦点距離に因らず、距離だけに依存するという事です。

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