2022/04/01
先日マルチアスペクトに関連して、思い切って正方形の撮像素子にすればカメラを持ち変えなくても、横位置と縦位置撮影ができる様になるとお伝えしました。
これに関して、読者の方よりお便りを頂きました。
それによると、正方形の撮像素子は既存マウントのカメラでは採用できないとのネット記事があるとの事です。
早速その記事を読ませて頂いた所、以下との事です。
目次
ゆえに正方形イメージセンサーは出来ないし仮にやっても売れない
その他にも細かい理由はあるのですが主に、
- 縦横36.0mmのセンサーの対角長51.0mm以上を確保できるマウントが少ない
- 縦にイメージセンサーを拡大すると電子接点と干渉しオートフォーカスもできない
- 既存レンズはフードやフレアカッターでケラレるためレンズの互換性がなくなる
- 解決のためにはレンズとセンサー双方を縦位置になるよう回転させる必要がある
- そのような機構を盛込むとボディが大幅に大型化してしまう
- またシャッターや手ぶれ補正の機構も大型化しコストアップが避けられない
- そこまでするくらいなら素直にカメラを縦に構える方が合理的
といったような理由から、正方形イメージセンサーや円形イメージセンサーというのは、既存マウントでは出来ないし、仮に縦位置撮影のためだけにマウントとレンズを新設計したとしても価格や大きさ・重量の大幅な増加を考えれば売れる見込みはほとんどないでしょう。
全く以ってその通りなので、本件は見事に没になりました。
と言いたい所なのですが、できないと言われると、どうしてもできると言いたくなってしまうのが、幣サイトの良い所です。
冗談はさておき、既存のマウントで正方形の撮像素子を使うのは非常に簡単です。
なぜならば、確かにカメラのフォーマットのサイズは、カメラの根幹となる基準値なので、それを途中から大きくするのは当然不可能なのですが、小さくするのは可能だからです。
マイクロ4/3サイズ
先ずはLumix機です。
Lumixには、レンズに互換性はないものの、フルサイズ機(Lマウント機)とマイクロ4/3機があります。
となると、下にあります様にフルサイズ機にマイクロ4/3サイズに対応した正方形の撮像素子を搭載してしまえば良いのです。
そうすればカメラを持ち変える事なく、マイクロ4/3サイズの横位置と縦位置の撮影が可能になります。
これで現行機に正方形の撮像素子を現行機に搭載するのは不可能ではない事は分かって頂けたと思うのですが、さすがにフルサイズ機にマイクロ4/3では無駄が多過ぎます。
何しろカメラはフルサイズ並みの大きさで、使用するレンズも高価で大きなフルサイズ用にも関わらず、出力される画像はその1/4の面積しかないマイクロ4/3なのですから。
ですが、これからがいよいよ本題です。
APS-Cサイズ
それはソニーのEマウント機です。
この場合、レンズに互換性があるフルサイズ機とAPS-Cサイズ機がありますので、フルサイズ機にAPS-Cサイズに対応した正方形の撮像素子を投入するのです。
そうすればカメラを持ち変える事なく、APS-Cサイズの横位置と縦位置の撮影が可能になります。
更においしいのは、イメージサークルが円形の(ケラレのない)レンズであれば(フルサイズ用ではなく)APS-Cサイズ用のレンズが使える事です。
すなわちカメラはフルサイズ機の大きさですが、総重量と価格に大きく影響するレンズは、撮像素子の大きさに合った小さくて軽いAPS-Cサイズのレンズで済むのです。
これもギミックと言われればその通りなのですが、APS-Cサイズ機で頻繁に横位置と縦位置を切り替えて撮っている方でしたら、多少興味を持たれるのではないでしょうか。
クロップとの違い
今までは以上で話は終わらせていたのですが、だったらフルサイズをクロップするのと同じではないかとのコメントを頂きました。
そもそも本記事は、”現行機に正方形の撮像素子は搭載できる”という話なので、主題から少々逸れるのですが、単にクロップのとは異なる点もしっかり書いておこうと思います。
例えばAPS-Cサイズの正方形の場合ですと、撮像素子の大きさは24×24mmになります。
という事はフルサイズ(36×24mm)に対して、2/3の大きさの撮像素子で済みます。
だからと言って、フルサイズ機に対して価格が2/3になる訳ではないのですが、少なからず安くなるのは間違いないでしょう。
そしてもう一つクロップとの違いは、撮像素子を正方形にすれば決してカメラを縦位置にして撮る事はないという事です。
恐らくこう書くと、(また主題から外れて)だったらフルサイズ機をクロップして使う方が合理的だとまたコメントを頂くのでしょう。
ですが、それを言い出したらマイクロ4/3機よりAPS-Cサイズ機、APS-Cサイズ機よりフルサイズ機という話と同じになってしまうのです。