2022/05/11
目次
はじめに
シャープの新型1インチセンサーカメラを搭載したAQUOS R7が発表されました。
先代のAQUOS R6も1インチサイズの撮像素子(2020万画素)を搭載していたのですが、これはごくごく一般的なベイヤー配列の撮像素子を搭載していました。
ところが本機は、どうやらソニーのOcta PDなる新しい撮像素子が搭載された様です。
これに伴って、全画素 Octa PD AFなる全面位相差AFを達成したそうです。
また47MP QBC(Quad Bayer Coding)を採用して、ズーム時にはモードが切り替わり、高精細さを維持できるそうです。
となと、Octa PD(8個の受光素子)とは一体どんな撮像素子なのでしょう?
ところが、上にありますソニーの説明文をいくら読んでも良く分からないので、順を追って説明したいと思います。
Quad Bayer
Octa PDの前に、先ずはQuad Bayerについてお話ししたいと思います。
これは下にあります様に、4分割した受光素子のそれぞれにオンチップレンズが1枚ずつ乗っています。
この場合、1枚のレンズの下が分割されていませんので、AFセンサーとして使う事はできません。
では何ができるかと言えば、低解像度と高解像度のデュアル解像度が可能になります。
例えば、基本が1200万画素だとすると、同じ撮像素子でその4倍の4800万画素の画像も出力できるのです。
とは言いながらも、当然ながら純粋なベイヤー配列の4800万画素より画質は劣る事になりますので、4800万画素モドキと言った方が良いかもしれません。
実はソニーのα7S IIIにも、このQuad Bayerが採用されている様なのですが、高解像度での画質が許容レベルに達しなかったのか、1200万画素の低解像度しか出力できない仕様になっています。
どうやらQuad Bayerは撮像素子の小さなスマホには有効でも、撮像素子の大きなデジカメには不向きな様です。
Octa PD
お待たせしました。
それではいよいよ本題のOcta PDです。
これは下の様に、Quad Bayerのレンズ下の受光素子を更に2分割したものです。
これで何ができるかと言えば、もう説明は不要でしょう。
縦線しか検知できませんが、全画面AFとデュアル解像度の二つが可能になるのです。
ここまで分かってくれば、AQUOS R7が全面位相差AFできるのも納得できます。
また”ズーム時にはモードが切り替わり、高精細さを維持できる”というのは、通常ならば解像度が低下するデジタルズームにおいて、ズームの途中から高解像度の読み出しに切り替えているからなのでしょう。
ただし、既にお伝えした様に撮像素子の大きなデジカメには、このOcta PDが採用される可能性は低そうです。
まとめ
AQUOS R7のOcta PDとは、撮像素子上の一つのカラーフィルターの下に4つのオンチップレンズと受光素子が配置されたQuad Bayerに対して、更にその受光素子を二分割したセンサー配列を指す。
これによって、全画面AFとデュアル解像度の二つが可能になる、という訳です。
Octa PD(8個の受光素子)なのでQuad Bayer × 左右のデュアルピクセルAFですね。
管理人さまの書いているものだと16分割なので Hexadeca PD になると思われます
ご指摘ありがとうございます。
早速記事を修正しておきました。
なお撮像素子の場合、何故かラテン語が使われていますので、いつか1画素16分割の撮像素子ができた暁には、Hexadeca PDではなくSēdecim PDと呼ばれる様に思います。