目次
はじめに
どうも誤解している方が多い様です。
1画素を四分割(クアッド)しているからと言って、OMDSのOM-1とソニーのα7S IIIとの撮像素子(1画素)の構成は全く異なるのです。
今回はこれについて解説したいと思います。
クアッドピクセル(OM-1)
まずOM-1が採用しているクアッドピクセルですが、以下の様に1画素を単純に4分割した構成になっています。
これで何ができるかと言えば、縦線と横線の両方が検知できるクロス測距が可能になります。
OM-1が呼ぶ所のクワッドピクセルAFが正にこれです。
縦線検知しかできないキヤノンのデュアルピクセル CMOS AFの発展形、と言えば分かり易いでしょうか。
クアッドベイヤー(α7S III)
続いてはα7S IIIが採用しているクアッドベイヤーです。
これは下にあります様に、1画素を4分割しているのはクアッドピクセルと同じですが1つの受光素子のそれぞれにオンチップレンズが1枚ずつ乗っているのです。
この場合、1枚のレンズの下が分割されていませんので、AFセンサーとして使う事は決してできません。
では何ができるかと言えば、低解像度と高解像度のデュアル解像度が可能になります。
例えば、基本が1200万画素だとすると、同じ撮像素子でその4倍の4800万画素の画像も出力できるのです。
とは言いながらも、当然ながら純粋なベイヤー配列の4800万画素より画質は劣る事になりますので、4800万画素モドキと言った方が良いかもしれません。
ご存知の様にソニーのα7S IIIにも、このクアッドベイヤーが採用されているのですが、高解像度での画質が許容レベルに達しなかったのか、1200万画素の低解像度しか出力できない仕様になっています。
なぜクアッドピクセルとクアッドベイヤーが混同されるのか
お伝えした様にクアッドピクセルとクアッドベイヤーは全く異なる構成で且つ異なる性格を有しながら何故混同されるのでしょうか?
いくつか理由があるのでしょうが、一番大きな理由はiPhoneではないでしょうか。
iPhone 13 Pro以降、メインカメラにクアッドベイヤーが採用されているのですが、iPhoneではこれをクアッドピクセルと呼んでいるのです。
確かに両方の名称ともJISやISOで定義されている訳でもないので何と呼ぼうと勝手なのですが、同じタイプの物を二つの異なる名称で呼べば混同する人が居ても不思議はないでしょう。
まとめ
以上をまとめますと以下の様になります。
OM-1が採用しているクアッドピクセルは、1画素を単純に4分割した構成になっており、これにより縦横線検知のクロス測距AFが可能になる。
α7S IIIが採用しているクアッドベイヤーは、1画素を4分割しているのはクアッドピクセルと同じながら1つの受光素子のそれぞれにオンチップレンズが1枚ずつ乗っている。
このためクロス測距AFはできないものの、低解像度と高解像度モドキのデュアル解像度が可能になる。
両者が混同される理由は、iPhoneがクアッドベイヤーをクアッドピクセルと呼んでいるためと思われる。
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