1本の単焦点レンズを
6本の単焦点レンズとして使用する方法

2021/12/10

はじめに

今回は、たった1本の単焦点レンズを使って、6本分の単焦点レンズとして使える方法をご紹介します。

嘘だと思うのでしたら、先ずは下の写真をご覧下さい。

これはカメラ(EOS R6)から出力された素の画像ですが、上段左から下段右にかけて、徐々に被写体が大きくなっているのが分かると思います。

そうなると、当然被写体に近付いたか、ズームレンズの焦点距離を変えたかと思われるかもしれませんが、レンズは35mmの単焦点ですし、カメラは三脚に据え付けたままで微動だもしていません。

もちろん被写体を動かしたという、姑息なウケ狙いでもありません。

残る手は、画像をクロップ(もしくは後でトリミング)する手ですが、そうなると当然ながら解像度(画素数)が低下します。

ところが上の場合は、どれも同じ解像度で、等倍で見ても画質の低下は殆ど見当たりません。

さあ、どうやって撮ったでしょうか?

種明かし

それでは、上の写真はどうやって撮ったか、ご説明しましょう。

実は、これらの写真は全てFHD動画で撮った映像から切り出したものなのです。

そして下にあります様に、上段はクロップ(CLP)無し、下段は1.6倍のクロップ有りで、さらに左から右に電子手振れ補正OFF、弱、強と並んでいます。

ではなぜこの方法でしたら、解像度も画質も変化しないかと言えば、元々FHD動画の解像度は200万画素でしかありません。

それに対して今回使ったカメラ(EOS R6)でしたら、全画素で2000万画素もあります。

このため、多少これ(200万画素の映像)をクロップした所で、画質を低下させる事無く拡大する事が可能だからです。

この部分をもう少し分かり易く説明すると、一番左上の写真は2000万画素を1/10にまとめて(縮小して)200万画素にしたもので、右下のは写真は2000万画素の中央部分の200万画素を抜き取ったもの、と言えば凡そご理解頂ける事でしょう。

早い話が、静止画撮影において画像サイズを小さく(200万画素に)してデジタルズームを使ったのと同じ事なのです。

ちなみにEOS R6の最初サイズ(S2)は、下の表にあります様に380万画素ですので、200万画素が以下に小さいか分かります。

EOS R6のサイズ別記録画素数

そんな訳で、カメラの画素数と比べて解像度の低い(画素数の少ない)動画であれば、自由自在とまでは言わないものの、デジタルズームで被写体を画質の低下なく拡大する事が可能なのです。

ちなみにEOS R6でFHD動画を撮るとしたら、2000万画素を200万画素で割って10倍、さらにその2乗根で3倍まで画質の劣化なくズーム可能になる計算です。

これは、35mmのレンズでしたら105mmまで拡大できる事を意味します。

焦点距離はどれくらい変わるのか

では先ほどの写真において、クロップと手振れ補正を切り替える事によって、どれだけレンズの焦点距離が変わるか、各設定毎に下のチャートを撮って調べてみました。

レンズの焦点距離と撮影範囲を示すチャート

その結果が以下になります。

ご覧の通り、35mm F1.8の単焦点レンズを付けているだけなのに、カメラの設定を変えるだけでそのまま55mm F1.8や90mm F1.8の単焦点レンズとして使う事ができるのです。

当然ズームレンズでも同じ事はできますが、単焦点レンズですので、軽いし安いし明るいし画質も優れていると、良い事尽くめです。(ただし被写界深度は、本来の55mm F1.8や90mm F1.8より深くなります)

また望遠時は単焦点レンズの中央部分の領域しか使いませんので、更にズームレンズより画質が良くなる可能性もあります。

それでいて解像度は同じなのです。

これはかなり耳寄りな話だと思うのですが、いかがでしょうか。

まとめ

以上をまとめますと、動画撮影時には(無駄にレンズ交換などせずに)どんどんクロップした方が効率的だという事です。

さてここまで知ると、何故各社は動画撮影中に(画質も解像度も低下しない)デジタルズームを使える様にしないのか不思議に思ってしまいます。

もしそれが、(技術的な問題ではなく)単に思い付かないだけだとしたら、もしかしたら(素人には難しい技術的な詳細説明なしで)動画撮影中にデジタルズームを使える様にするというアイデアだけで、特許を取得できるかもと思ってしまいます。

8件のコメント

ご指摘頂いたスーパー解像度が、ソニーの全画素超解像ズームに似た機能だとしたら、EOS Rシリーズにはその様な機能はありません。

またソニーの全画素超解像ズームにしても、Photoshopのスーパー解像度にしても、少なからず画質は低下します。

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