現在カメラの代表的な撮像素子のサイズは、フルサイズとAPS-Cサイズとマイクロフォーサーズの3種類と思って良いでしょう。
ではそれぞれの違いは何なのでしょうか?
フルサイズが一番画質が良くて高価でデカい、そして撮像素子が小さいくなるほど程画質は劣るものの望遠に有利で且つ安くて軽いといったのが、大方の認識ではないでしょうか。
それでも間違いではないのですが、ここではもう少し本質的な話をしてみたいと思います。
目次
画角が異なる
画角については良くご存じの事でしょう。
例えば焦点距離50mmのレンズをAPS-Cサイズのカメラに付ければ、フルサイズのカメラに1.5倍した75mmのレンズを付けたのと画角になり、マイクロフォーサーズ機に付ければ、フルサイズのカメラに2倍した100mmのレンズを付けたのと画角になります。
このため撮像素子が小さい方が、望遠レンズの全長を短くできるので、望遠撮影には断然有利と言えます。
ただしここで重要なのは、変わるのは画角だけで、被写界深度は変わらないという事です。
被写界深度
それでは次に、その被写界深度です。
これについても、撮像素子が小さくなるほど同じ絞り値でも被写界深度が深くなるのはご存じの事でしょう。
ではどれくらい深くなるかと言えば、同じ画角のフルサイズのカメラに対して、APS-Cサイズで1.3段、マイクロフォーサーズで2段分深くなります。
例えば50mm F1.4のレンズをAPS-Cサイズのカメラに付けたとすると、フルサイズのカメラに75mm F2.2のレンズを付けたのと同じ被写界深度になります。
またこれをマイクロフォーサーズのカメラに付けると、フルサイズのカメラに100mm F2.8のレンズを付けたのと同じ被写界深度の写真になります。
この場合絞り値はF1.4のままなので、暗い所で極力被写界深度を深くして撮影したいのならば、撮像素子の小さなカメラを使った方が有利になります。
用途としては、被写界深度の浅くなる望遠撮影やマクロ撮影では、これらのカメラの方が断然有利と言えます。
一方背景をぼかすポートレート撮影においては、フルサイズのカメラでなくてはなりません。
画質
最後に画質ですが、これは撮像素子が大きい方が当然有利になります。
なぜならば同じ画素数であれば、1つの受光素子の面積が大きくなるので、1回の撮影で取り込める光の量が増えるからです。
1画素の受光量が多ければ多いほど、画質が良くなるというのはどなたもすんなりご納得頂ける事でしょう。
ただし注意しなければならないのは、以下の二つの理由によりフルサイズのカメラの画質が、常に良いとは限らないという事です。
1画素の大きさ
先ず一つ目は、たとえフルサイズのカメラであっても、高画素機の場合でしたら1画素は小さくなり、場合によっては小さな撮像素子のカメラより画質が劣る場合があるのです。
下は1画素の大きさを、棒グラフで示したチャートになります。
これを御覧頂きます様に、マイクロフォーサーズの1600万画素とフルサイズの6100万画素は、1画素の大きさは同じになります。
このため撮った写真を見比べると、フルサイズの方が高精細なものの、画質(ノイズレベル)は同じになるのです。
更には1000万画素のマイクロフォーサーズ機に至っては、4500万画素のフルサイズ機より画質は上なのです。
ISO感度
そして、もう一つがISO感度です。
先ほど1画素が大きいほど画質が良くなるとお伝えしましたが、それはあくまでも同じISO感度で撮った場合の話です。
例えば同じ画素数のフルサイズ機とマイクロフォーサーズ機があったとします。
フルサイズ機がISO400でマイクロフォーサーズ機がISO100で撮ったとすると、マイクロフォーサーズ機の方が4倍受光量が多くなるので、フルサイズ機より画質が良くなるのです。
よくオレはプロだから、ピンボケを避けるためにフルサイズのカメラでISO400を常用しているという写真家がいますが、それというのはマイクロフォーサーズ機のISO100で撮っているのと同じ事になるなのです。
まとめ
という事で以上をまとめると以下の様になります。
1)同じ焦点距離のレンズであっても、APS-Cサイズ機に装着するとフルサイズ機より1.5倍望遠になり、マイクロフォーサーズのカメラに装着すると2倍望遠になる。
2)同じ画角のレンズを装着した場合、同じ絞り値であってもフルサイズ機に対してAPS-Cサイズ機は1.3段、マイクロフォーサーズ機は2段、被写界深度が深くなる。
3)このため極力被写界深度を深くしたい望遠撮影やマクロ撮影においては、小さな撮像素子のカメラを選択するのが合理的である。
4)同じ画素数で且つ同じISO感度であれば、フルサイズ機の方がAPS-Cサイズ機より2.25倍、マイクロフォーサーズ機より3.8倍画質(ノイズレベル)は良い。
5)ただし、フルサイズ機であっても画素数が多い場合、或いは無駄にISO感度を上げて撮る場合は、撮像素子が小さなカメラより画質が劣る事もありうる。
6)このためフルサイズ機の最大の魅力は、低ISO感度を使ったボケを活かした撮影と言える。
総まとめ
全てをまとめますと、以下の通りです。
ノイズの少ない滑らかな画質とボケにこだわるのであれば、低画素のフルサイズ機。
もし望遠撮影やマクロ撮影がメインであれば、マイクロフォーサーズ機。
両方の中間で、やや中途半端なのがAPS-Cサイズ機。
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