マルチショットノイズ低減機能は動体でも使える

はじめに

幣サイトで何度か取り上げているキヤノンのマルチショットノイズ低減機能(以降マルチショットNRと呼ぶ)ですが、恐らくキヤノンユーザの殆どの方が使った事はないのではないでしょうか。

EOS R6のマルチショットNR(ノイズ低減機能)の設定画面

何しろ、高感度にしたときしか効果は無いし、RAWファイルでは保存できないし、動体には使えないと言われているからです。

実際EOS R6の操作説明書には、以下の様に記されています。

EOS R6の操作説明書の抜粋

ところがEOS R6で使ってみると、どうもそんなに単純なものではないとの感触があり、それを定量的に確かめるために、思い切って電動のターンテーブルを購入しました。

 

これで何をするかと言えば、上にマネキンを乗せて左右に回転させ、それをマルチショットNRで撮ってどうなるか試してみようという魂胆です。

動いている被写体を複数枚撮影して合成すれば、当然ボケた画像になる筈です。

マネキンは止まっている

ではどうなったかと言えば、それが下の写真です。

マルチショットNR(左)とノイズ低減標準のワンショット(右)
(いずれも1/800秒 F13 ISO102400)

キャプションにあります様に、左がマルチショットNR、右がワンショットで撮った写真です。

これをご覧頂ければ、何方も驚かれるのではないでしょうか。

マルチショットNRにおいても、しっかりマネキンは停止しているのです。

マルチショットNRで撮影していると4回シャッター音が聞こえるのですが、4枚撮るのに掛かる時間は約1秒ほどです。

このため、左右に回転しているマネキンをシャッタースピードを1秒にして撮った写真が以下になります。

シャッタースピード1秒の画像

ご覧の通り、紛れもなくマネキンは動いているのを、分かって頂けると思います。

にも関わらず、マルチショットNRで撮ると止まっているのです。

写真が小さいので、拡大したのが以下になります。

マルチショットNR(左)とノイズ低減標準のワンショット(右)
(いずれも1/800秒 F13 ISO102400)

ご覧の様に、ワンショットと比べてもやはり複数枚合成によるブレやボケはありません。

そんな訳で、少なくともキヤノンのマルチショットNRは、単純に4枚の画像を重ねているだけでは無さそうです。

またこの場合、マネキンの顔の向き(形状)が変わりますので、手ブレで生じる被写体の位置ズレを補正して合成しているだけでも無さそうです。

マネキンのノイズレベル

次にマネキンのノイズレベルを比べてみます。

下の拡大写真を見比べる限り、マネキンのノイズレベルはほぼ同じ様に見えます。

マルチショットNR(左)とノイズ低減標準のワンショット(右)
(いずれも1/800秒 F13 ISO102400)

ただしワンショットの場合、ノイズ低減レベルを標準にしていますので、もしOFFにしていれば、マルチショットNRの方がノイズレベルは良いという事になります。

背景のノイズレベル

次に背景のノイズレベルを見てみます。

マルチショットNR(左)とノイズ低減標準のワンショット(右)
(いずれも1/800秒 F13 ISO102400)

すると上にあります様に、背景のノイズレベルはマルチショットNRの方が明らかに良くなっています。

結論

そうなると、ここでどんな方法で画像を合成しているのかウンチクを傾けたい所ですが、憶測を並べてもしょがないので止めておきます。

ただ言える事は、キヤノンのマルチショットNRはかなり高度な画像処理を行っており、動体でも使えそうで、且つその場合でも被写体も背景もノイズが軽減されるという事です。

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