2022/07/14
目次
はじめに
日経の報道によれば、ニコンとキヤノンは、一眼レフの開発を終了したそうです。
そう聞かれて驚いた方も多いのでしょうが、そんな事は以前から分かっていた事なのです。
一眼レフの売り上げ金額の推移
下のチャートは、CIPA(一般社団法人カメラ映像機器工業会)がまとめた一眼レフとミラーレス一眼の売り上げ金額の推移です。
これをご覧頂きます様に、2020年までの全世界(W/W)における一眼レフの売り上げは、つるべ落としの状況で、近似曲線(赤い破線)を描けば2022年には売り上げはゼロになる事は、誰の目にも明らかでした。(詳細はこちら)
にもかかわらず、誰が今後売れそうもない一眼レフを開発するでしょうか?
そんな訳で、ニコンもキヤノンも2022年以前に一眼レフの開発を終える事は、周知の事実とまでは言わないまでも、以前から分かっていた事なのです。
丁度1980年代に、各社が一斉にマニュアルフォーカス一眼レフの開発を終了したのと同じ様なものです。
ニコンの対応
とは言っても市場では、依然一眼レフを愛用している方が少なからずいらっしゃいます。
このためニコンは、最後のハイアマチュア用一眼レフであるNikon D780を2020/1に発売し、続く2020/6にプロ用一眼レフであるNikon D6を発売したという訳です。
Nikon D6 |
Nikon D780 |
ですので、ニコンにおいては2020年以降一眼レフの開発は全く行われていないと見て間違いないでしょう。(詳細はこちら)
キヤノンの対応
一方キヤノンですが、こちらについても同じく2020/2にプロ用一眼レフであるEOS-1D X Mark IIIを発売しました。
EOS-1D X Mark III |
ただし恐らくこの時点では、ハイアマチュア用一眼レフのEOS 5D Mark Vの開発は、同じ撮像素子を使ったEOS R5(2020/7発売)と並行して進められていたのでしょう。
EOS 5D Mark IV |
そこでもし市場の要望が強ければEOS 5D Mark Vも発売しようと思っていたものの、EOS R5の評判が良かったので、没になったという所ではないでしょうか。
となると、もしかしたらEOS 5D Mark Vの開発試作機ぐらいは、既にできていたのかもしれません。
余談ですが、開発試作機は他機種の流用部品以外は全てハンドメイドになりますので、1台で軽く見積もってもスーパーカーが買えるぐらいのお値段になります。
決して日の目を見る事はないでしょうか、最後のEOS 5Dがどんなカメラになったか、いつか見てみたいものです。
市場の思惑
ところで、先ほどお見せしたた一眼レフの売り上げ金額の推移において、興味深い事に気付かれませんでしょうか。
それは、それまで落ち続けていた一眼レフの売り上げが、2021年にほぼ前年並みに戻っている事です。
恐らくこれは、どうやら一眼レフはそろそろ終焉しそうなので、今の内に最新機種を買っておこうという思惑なのかもしれません。
あるいは、一眼レフが売れなくなる前に、在庫を一掃しようという思惑、もしくはその両方かもしれません。