レンズの焦点距離を延ばせば背景がボケるのは、良く知られた話です。
では具体的にはどれくらいボケるのでしょうか?
答えを言いますと、焦点距離が2倍になったら背景のボケは4倍大きくなるのです。
これは下の写真を見て頂ければ、一目瞭然でしょう。
上は同じ被写体を、絞りF4の焦点距離50mmと100mmで撮った写真です。
100mmで撮った方は当然被写体であるライターは2倍に拡大されているのですが、背景の白いボケはそれより大きく拡大されているのが分かって頂ける事でしょう
具体的には、50mmで撮った写真はボケとライターに貼られた黄色のシールがほぼ同じ大きさなのに対して、100mmで撮った方はシールよりボケの方が遥かに大きくなっています。
このボケの直径を2枚の写真で比べてみると、4倍大きくなっているという訳です。
漠然とボケ易くなるではなく、数値でしっかり覚えておいて損はないでしょう。
ちなみに絞りの場合、1段開けても1.4倍しかボケは大きくなりません。(詳細はこちら)
一方焦点距離を変えてボケを1.4倍(絞り1段分に相当)にするには、下の表にあります様に焦点距離を1.2倍にするだけで済むのです。
大きくしたいボケ(直径)の倍率 | 1.4倍 | 2倍 | 2.8倍 | 4倍 |
必要となる焦点距離の倍率 | 1.2倍 | 1.4倍 | 1.7倍 | 2倍 |
必要となる絞りの段数 | 1段 | 2段 | 3段 | 4段 |
すなわち焦点距離を50mmから60mmにしただけで、(画角は変わるものの)絞りを1段開けたのと同じボケ効果が得られるのです。
そんな訳で、背景をボカスとなると真っ先に絞りを開ける事を考えてしまいますが、むしろ焦点距離を延ばした方が効果は大きいのです。
ついでなので、以下に焦点距離Aと焦点距離Bにおける背景のボケの大きさの違いを求める式をお伝えしておきます。
ボケの大きさ(直径)の違い= (焦点距離 A÷焦点距離B)2
このため、同じ絞り値で焦点距離35mmと50mmではボケの大きさは2倍異なり、50mmと85mmであれば3倍、50mmと105mmであれば4.4倍、50mmと135mmであれば7.3倍も異なるという訳です。
ただしこれは、あくまでも被写体までの距離が同じ場合です。
当然ながらレンズの焦点距離を延ばすと被写体が大きくなるので、通常でしたら同じ大きさにするために被写体から少なからず離れる事になります。
このため実際のボケの大きさは、この半分程度になると思って頂いた方が良いかもしれません。
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