背景を定量的にボカス方法

はじめに

何でもかんでも背景をぼかせば良いというものではないでしょうが、背景がボケたポートレートはやはりそれなりに魅力的です。

ではカメラで背景をボカス方法はと訊かれれば、恐らく何方も以下の様に答えられる事でしょう。

背景をぼかす方法

①絞りを開ける。
②望遠系レンズを使う。
③撮像素子の大きなカメラを使う。
④被写体に近づく。
⑤被写体から背景を離す。

それでも良いのですが、絞りを1段開けるのと、レンズの焦点距離を2倍にするのでは、どちらがボケるのでしょうか?

また被写体までの距離を半分にすると、どれだけ背景がボケるのでしょうか?

またフルサイズのデジカメとAPS-Cサイズのデジカメでは、どの程度ボケの大きさが違うのでしょうか?

恐らくそう訊かれて即答できる方は、かなり少ないでしょう。

という訳で、ここでは背景を定量的にボカス方法をお伝えします。

なおここで言うボケの大きさとは、背景にある点光源のボケの直径を指します。

定量的にボカス方法

取り急ぎ要点をお伝えすると、以下の様になります。

背景を定量的にぼかす方法

①絞りを1段開けると、ボケの大きさは1.4倍になる。
②レンズの焦点距離を2倍にすると、ボケの大きさは4倍になる。
③撮像素子の大きさを2倍(長さ比)にすると、ボケの大きさは2倍になる。
④被写体までの距離を半分にすると、ボケの大きさは2倍になる。
⑤背景を無限遠にすると、ボケは最大になる。

このため同じレンズで絞りを1段開けるとボケの直径は1.4倍しか大きくならないのに対して、レンズの焦点距離を2倍にするとボケは4倍にもなるのです。

また被写体までの距離を半分にすると、背景のボケは2倍になります。

また同じ画角でフルサイズをAPS-Cサイズにクロップすると、ボケは1/1.5倍に小さくなります。

それでは次に実際にそうなるかどうか確認してみます。

検証

下の写真はカメラから被写体までが1m、背景の点光源までの距離が7mで、フルサイズ機に24-105mm F4のズームレンズを付けて撮ったものです。

絞りを1段開ける

この状態で、先ずは絞りを1段開けた写真を見比べてみたいと思います。

50mm F5.6(左)と50mm F4(右)

元々のボケが小さくて分かり難いのですが、右のボケは左のボケより1.4倍大きくなっています。

焦点距離を2倍にする

次にレンズの焦点距離を2倍にした写真を見てみます。

50mm F5.6(左)と100mm F5.6(右)

これでしたら、ボケの直径が4倍になっているのが分かって頂けると思います。

なおここで注目して頂きたいのは、被写体(ライター)の大きさは2倍になっていながら、ボケは4倍になっている事です。

被写体までの距離を半分にする

次はレンズの焦点距離は50mmのままで、被写体までの距離を半分の0.5mにしてみます。

50mm F5.6で被写体までの距離が1m(左)と50mm F5.6で被写体までの距離が0.5m(右)

するとご覧の通り、ライターもボケも同じ2倍の大きさになったのが分かると思います。

ちなみに一部のカメラに備わっている2倍のデジタルズームを使った場合も、この様な画像になります。

同じ画角でAPS-Cサイズにクロップする

最後に同じ画角でフルサイズをAPS-Cサイズにクロップした場合です。

50mm F5.6クロップ無し(左)と30mm F5.6で1.6倍クロップ(右)

これまた分かり難いのですが、同じ画角で1.6倍にクロップした場合、ボケが1/1.6倍に小さくなります。

まとめ

以上から以下の事が分かります。

①絞りを1段程度開けてもボケは1.4倍にしかならないので、ちょっと見て気付く程度に背景をよりぼかしたいのならば、絞りを2段以上は開けなければならない。

②ボケを大きくしたいのならば、絞りを開けたり、被写体に近付くより、レンズの焦点距離を延ばすのが最も効果的である。

③50mm F4程度の焦点距離と絞り値だと、ボケは殆ど期待できない。