2022/06/11
目次
はじめに
スタジオ撮影をやられた方でしたら、アンブレラを使われた事はあるでしょう。
ところでそれらを使うに当たって、ストロボとの位置はどうやって決められているでしょうか?
まさか何も考えずに配置しているという事はないでしょうが、ストロボの理想の配置位置とはどこなのでしょう。
今回はその点をクリアにしたいと思います。
放物線とその焦点
放物線をご存知でしょうか。
その昔、学校で習った二次関数(Y=aX2)の曲線です。
ではなぜ放物線と呼ばれるかと言えば、空に向かって石を投げると、この曲線を上下反転したラインに沿って石が飛ぶからです。
またコップの中の水をスプーンでクルクルかき回した時にできる渦の断面も、この形状になります。
この様に放物線は自然界と密接な関係があります。
それはともかくとして、上の放物線のチャートに赤い点があるのに気付いて頂けましたでしょうか。
これは放物線の焦点なのです。
レンズでもないのに、何と放物線には焦点が存在するのです。
ではこの焦点が何をするかと言えば、下の図にある様に放物線の中に平行に入ってきた光は、放物線の内側に反射してこの1点に集まるのです。
逆にこの焦点から出た光は、平行光線となって放物線の外に出ていくのです。
ヘッドライトの反射鏡、或いはパラボラアンテナの断面が、正にこの放物線になります。
これでなぜこんな話をいきなり持ち出したか、薄々分かって頂けた事でしょう。
アンブレラとストロボの位置関係
それでは本題のアンブレラです。
この断面形状は、先ほどの放物線と異なり薄く見えますが、実は先ほどの放物線の下の部分を拡大したのがこの形状なのです。
正確にはアンブレラの曲線は三次曲線になるのですが、ここでは二次曲線(放物線)に近似という事で話を進めます。
また上の図を見てお気付きの様に、この場合の焦点は放物線の外側にあるのです。
このため、アンブレラを被写体までの距離に関係なく効率良く使うには、ストロボをアンブレラの近くではなく、外側の焦点に置いた方が良いというのが分かります。
この場合、反射光の光路長は全て同じ長さになるので、外から見るとアンブレラの内側は均一に光って見えます。
またアンブレラの場合、(ソフトボックスと違って)ストロボの光はアンブレラの内側にしか行かないので、正に理想的と言えます。
更にお伝えすると、焦点位置から更にストロボをアンブレラに近づけると光は拡がり、遠ざけるとアンブレラの近くに集光する事になるので、光の照射角度もコントロールできるのです。
まとめ
以上をまとめますと以下の通りです。
①アンブレラで平行光線を作りたい場合は、照射角の広いストロボを焦点に配置すれば良い。
②この場合、ストロボの光が直接外部に出ないので、比較的均一な平行光線を作る事ができる。
③更にストロボをアンブレラに近づけたり遠ざけりする事で、光の照射角度もコントロールできる。
そんな訳で最初のお見せしたアンブレラとストロボの配置でしたら、光は拡散する事になります。
それ以前にアンブレラとストロボの位置が近いので、ストロボの照射角を拡げてもアンブレラ内側全面を照射できないでしょう。
かなり恥ずかしいので、この様なセッティングは避けましょう。
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