ニコンRAWファイルの14bitと12bitの違い

2022/05/22

はじめに

Nikon Z 50のマニュアルを見ると、下にあります様にRAWファイルを12bit14bitから選択できる様になっています。

Nikon Z 50のマニュアル抜粋

更にこのマニュアルによれば、14bitの方が諧調が豊かになると記されていますので、誰しも14bitの方を選びたくなるのが人情でしょう。

そうなるとRAWファイルの容量は、計算上16%増える事になり、諧調性は4倍滑らかになるはずです。

ですが、実際に目にするJPEGの画像においても、そんなに差があるものなのでしょうか。

そう思って早速ネットを調べてみても、両者の画像をじっくり比較した記事は見当たりません。

そうなると自分の目で確認してみるしかありません。

比較結果

と思って、Nikon Z 50で撮った写真が以下になります。

12bitRAW(左)と14bitRAW(右)(いずれも1/1.3秒、F8、ISO100)

これは12bitRAWファイル14bitRAWファイルを、ニコンの現像ソフトであるNX Studioで表示した画像になります。

これを見比べると、全く同じ露出設定でありながら、14bitRAWファイルの方が僅かに明るくなっています。

何度撮っても同じ結果なので、どうも純正の現像ソフトでありながらビット深度によって処理結果が若干異なる様です。

それはともかく、では画質(諧調)に違いがあるかどうか確認するため、画像の一部を200%に拡大したのが以下になります。

12bitRAW(左)と14bitRAW(右)(いずれも1/1.3秒、F8、ISO100)

明るさが異なるので、見え方に多少の差はありますが、これを見て諧調性が4倍良くなったとは思えないでしょう。

ちなみに12bitRAWの画像ファイルが19.3MB、14bitが24.3MBです。

Z50の有効画素数が2088万画素なので、計算上は12bitが32MB、14bitが37MBになる事を考えると、Z 50のRAWファイルはどうやら可逆圧縮RAWファイルの様です。

理論値

画像を見比べた感じでは大差ない様に思うので、次は理論的に12bitと14bitはどれだけの意味があるかを考えてみます。

ご存知の様に普段私達が目にするJPEG画像は、8bitの256諧調です。

このため、14bit、15bit、16bitと徒(いたずら)にカメラ側のビット深度を増やしたところで、どこかで効果がなくなってしまいます。

そう思って描いた図が以下になります。

カメラとモニターのダイナミックレンジの関係

ここで、カメラのダイナミックレンジが15段で、一般的なモニターのダイナミックレンジが10段だとします。

このため、RAWファイルを現像すると、この15段の内のどこか10段分を抜き取って(モニターで自然に見える)JPEGファイルを作る事になります。

例えば、通常のJPEGファイルはカメラのダイナミックレンジの中央部分を使いますが、現像ソフトで明るくするとカメラのダイナミックレンジの右側(明部)、暗くすると左側(暗部)を使うという訳です。

そうなると、モニターの諧調が8bitの256諧調ですので、カメラのビット深度を8bit以上に増やす必要があります。

ではどのくらい増やすかと言えば、比例計算で簡単に求められます。

具体的には、モニターの1段が25.6諧調なので、それを15倍して384諧調あれば十分と言いたい所ですが、そうではありません。

この場合、段数(対数)を真数に変換して計算しなければなりません。

計算がややこしいので詳細は割愛しますが、もしカメラのダイナミックレンジが15段ならば、カメラに必要なビット深度は13bitで、モニターの諧調とピッタリ同じになります。

そうなると、やはり理論上は(12bitでは足りなくて)14bitが必要になるかと言えば、これまたそうでもありません。

実はこの15段とは、フルサイズ機でもトップクラスのダイナミックレンジの値なのです。

このため、APS-Cサイズ機のNikon Z 50であれば、恐らく頑張ってもせいぜい14段程度ではないでしょうか。

それで計算すると、必要なビット深度は12bitになります。

結論

そんな訳で、少なくともZ 50においては、画像の比較結果からしても、理論上からしても12bitで十分だと思うのでありました。

ただしフルサイズ機で2400万画素のNikon Z 6や Z 6IIにおいては、もしかしたらダイナミックレンジが15段近くあるかもしれないので、その場合は14bitを選択した方が良いかもしれません。

と言いたい所なのですが、ここでもう一つお伝えする事があります。

この15段ですが、これはあくまでも最低常用ISO感度であるISO100の時の話なのです。

もしISO感度を1段上げてISO200にすると、理論上ダイナミックレンジは1段下がって14段になってしまうのです。

そんな訳で、例え画素数の少ないフルサイズ機であっても、ISO感度を上げ気味にして撮っている場合は、12bitで十分と言えそうです。