アナモルフィックレンズを使うと画質は向上する

2022/10/27

アナモルフィックレンズをご存知でしょうか。

SIRUIのアナモルフィックレンズ

画像を水平方向に縮めて撮るレンズで、後で引き延ばす事によってよりワイドな画像が手に入ります。

もっと詳しく言えば、カメラ用レンズの先端(もしくは後端)にシリンドリカルレンズ(半円柱レンズ)を設けて、水平方向を圧縮して撮るレンズで、後処理で元に引き延ばして再生します。

下は、そのアナモルフィックレンズを使って、水平方向を1/1.33倍に圧縮した場合のイメージ画像です。

アナモルフィックレンズを使って横方向を1/1.33に圧縮したイメージ画像

これによって、2.4:1のシネマスコープサイズの画像を、16:9の一般的な動画のサイズに圧縮する事ができます。

さらにこれを画像処理ソフトを使って、1.33倍に引き延ばすと以下の様に2.4:1のシネマスコープサイズになるという訳です。

とは言え、こんな横長の画像にした所で、どうせ使用するモニターやテレビは16:9のサイズですので、一般人がこんな特殊なレンズを使うメリットは殆ど見い出せません。

また画質に関しても、圧縮した画像を後で引き延ばすのですから、良くなる筈がありません。

濃縮ジュースを水で薄めても、所詮フレッシュジュースには戻らならないのと同じ理屈です。

と以前から思っていたのですが、大きな間違いでした。

アナモルフィックレンズを使うと、実は画質が良くなるのです。

というのは、例えば縦横比が16:9の撮像素子があったとして、それで2.4:1のシネマスコープサイズを撮るとすると、下にあります様に上下面をカットして一回り小さな撮像素子で撮る事になるからです。

16:9の撮像素子で2.4:1の画像を撮ると上下面がカットされる

すなわち、撮像素子の全面が使えないのです。

一方アナモルフィックレンズを使うと、16:9の撮像素子全面が使えるのです。

仮に撮像素子の受光面積と画質が比例するとしたら、アナモルフィックレンズを使った方が、計算上画質が1.35倍も良い事になります。

そこでまた思い付いた事があります。

ならばアナモルフィックレンズを使って、縦横比3:2のフルサイズ機(或いはAPS-Cサイズ機)で16:9の動画を圧縮して撮ってみたらどうなるでしょう。

通常フルサイズ機で16:9の動画を撮ると、撮像素子の上下面はカットされて使用されません。

これでもしアナモルフィックレンズを使って、16:9の画像を3:2の撮像素子全面に圧縮して撮り、さらにそれを後処理で16:9に引き延ばせば、撮像素子の全面を使える事になります。

そうなると、受光面積は1.2倍に増え、画質も1.2倍向上する事になるのです。

また受光面積が1.2倍増えるという事は、画角も広くなり被写界深度も僅かながら浅くなります。

アナモルフィックレンズを使うと、点光源のボケが縦方向に長くなり、光芒が水平に強く発生する等の問題もあるのですが、撮像素子の全面を使えるというのは、何とも魅力的な話です。

良く知られているアナモルフィックレンズの光芒

どこか聞き入れてくれる所はないでしょうか。

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