コンデジの優位性

2021/10/26

ご存知かもしれませんが、スマホにも何と1インチサイズの撮像素子を搭載した機種が登場してきました。

1インチサイズの撮像素子を搭載したLEITZ PHONE 1

これによって、さらにコンデジの優位性が脅かされています。

では、今どきコンデジの優位性は何なのでしょうか?

今回はそれについて考えてみたいと思います。

1. ファインダー

真っ先に思い付くのはファインダーでしょう。

SONY RX100 VIのポップアップ式ファインダー

これは大昔からカメラの基本中の基本の構成要素だったのですが、スマホにはありません。

とは言え今どきファインダーレスのコンデジは多数あるのですが、しっかり構図を決めた写真を撮るには、画面の四隅までしっかり確認できるファインダーは何かと便利です。

また、明るい場所ですとモニターは見え難くなくなるのですが、ファインダーでしたらそんな事はありません。

またファインダーを覗いて撮影すれば、両手の肘が体に接触するので、比較的ブレを抑えた撮影が可能になります。

モニターを使った撮影では、どうしても両手を延ばし気味で撮影するので、そんな訳にはいきません。

2. 可変式モニター

2点目は、コンデジのモニターは可変式だという事です。

モニターが可変式という事は、スマホが得意の自撮りができる事と思われるかもしれませんが、それだけではありません。

Lumix DC-TZ90の可変式モニター

モニターが可変式ですと、上から俯瞰した撮影や、下から見上げた撮影が用意にできるのです。

上から撮った俯瞰写真

一方スマホを持ち上げて俯瞰した写真を撮ろうとすると、モニターが見えないので被写体をフレームの中央に入れるのはかなり難しく、気が付いたらしっかり自分の足が写っていたりします。

また下からの写真を構図を決めてしっかり撮るには、どうしても地面に寝転んで撮る事になります。

ついでにお伝えすると、人物写真の場合(顔の高さではなく)被写体の中央の高さから撮った方が自然に写ります。

このため、(フィルムカメラ時代ですが)人物撮影でウェストレベルファインダーを搭載した中判カメラが多用されたのは、これが理由の一つでした。

こんな撮影も、可変式モニターがあれば、楽な姿勢で行なえます。

またお伝えしました様に、スマホの画面は直射日光が当たると殆ど見えなくなるのに対して、可変モニターを少し傾けるだけで画面が見易くなるという利点もあります。

恐らくいくらスマホが進化しても、可変式モニター(もしくは可変式レンズ)を搭載する事はよもやないでしょう。

3. ストロボ内蔵

3点目のアドバンテージは、ストロボが内蔵されている事です。

ストロボが内蔵されたCanon IXY 200

コンデジの場合でしたら、どんなに小型の機種でもストロボが内蔵されていますので、夜間の撮影領域を大きく広げてくれます。

またストロボを使うのは夜だけだと思われるかもしれませんが、昼間でも逆光を補正したり、ネックレスを光らせたり、瞳にキャッチライト入れたりするのにかなり有効です。

日中シンクロは逆光補正やネックレスを光らせるのに有効

一方スマホの場合、LED照明が発光しますが、光はほんの近場までしか届きません。

いつかスマホにもストロボが搭載されると思われるかもしれませんが、その可能性は限りなくゼロです。

その理由はストロボ発光部の大きさもあるのですが、最大の要因はストロボ用のコンデンサーが予想外に大きい事です。

IXY DIGITALのストロボ用コンデンサー

上はキヤノンIXYのストロボ用コンデンサーですが、ご覧の様に直径は10mmほどあります。

ですので、厚み7mm前後のスマホに入れるのはどうしても無理があるのです。

また当然ながらストロボを発光すると電池も多く消耗しますし、発熱量も相応ですので、今後も搭載される事はないでしょう。

と言いたい所ですが、更に高輝度で発熱量の小さなLEDが開発されれば、いつかこの優位性も失われるかもしれません。

4. 光学ズームレンズ

4点目のアドバンテージは、光学ズームレンズを搭載している事です。

先ほどから何度か出ているキヤノンのIXYシリーズでさえ、今どきでしたら機種によって光学8倍~12倍のズームを搭載しています。

光学12倍ズームを搭載したIXY 650

また標準的なコンデジでしたら、光学20~40倍ズームが当たり前になっています。

光学40倍ズームを搭載したキヤノンのPowerShot SX720 HS

更にグリップタイプのコンデジでしたら、何と光学125倍というとんでもない機種まで存在します。

光学125倍ズームを搭載したニコンのCOOLPIX P1000

さすがにこれは特殊な機種ですが、光学ズームに関してはコンデジの独擅場と言って良いでしょう。

一方スマホの場合、デジタルズーム機能はあるものの、これは単に画像の一部分をデジタル処理で引き延ばしているだけですので、画質は光学ズームより明らかに劣ります。

また昨今は焦点距離の異なる複数のレンズ(カメラ)を搭載していますが、これとても広角(16mm)、標準(28mm)と望遠(57mm)程度でとてもコンデジには太刀打ちできません。

5. 完全防水

最近はスマホでも防水機能搭載が当然になってきていますが、それでも水の中に沈めて撮る人はいないでしょう。

ましてや、錆びやすい海水ならなおさらです。

これに対してコンデジにおいては、水深15mまで潜れる完全防水のカメラが数種類あります。

20m防水のフジフィルムFinePix XP130

波打ち際で撮影しようと思うと、どうしてもこんな機能が必要になります。

水しぶきが心配な波打ち際での撮影

ですが、これをスマホで達成するとなると、水圧に耐えられる強度と密閉性が必要になりますので、どうしても外装の厚みが増す事になります。

という訳で、これもスマホが実現させるのはかなり難しいと言いたい所ですが、深く潜らない限り防水ケースに入れれば済む事でした。

このためこれについては、大きな優位性とは言えないかもしれません。

6. レンズシャッター

普通に思い付くのは以上ですが、実はもう一つあるのです。

それは殆どのコンデジは、(スマホの電子シャターと違って)レンズシャッターを採用している事です。

この場合、電子シャターで良く指摘されるローリング歪や室内照明で発生するフリッカームラは一切発生しないのです。

電子シャターで発生するローリング歪

さらにストロボで全速同調が可能ですので、(フォーカルプレーンシャッターを搭載しているレンズ交換式カメラと違って)小さな内蔵ストロボでも日中シンクロが可能になります。

コンデジなら小さな内蔵ストロボでも日中シンクロが可能

余り知らていない事かもしれませんが、もしかしたらこれがコンデジの最大の利点かもしれません。

まとめ

さて、最後にまとめです。

お伝えしました様に、スマホがコンデジを超えられない5つの障壁とは、①ファインダー、②可変式モニター、③ストロボ内蔵、④光学ズーム、それに⑤完全防水⑥レンズシャッターです。

生憎この6点の機能を網羅したコンデジは存在しないのですが、ファインダー以外を搭載しているのは、オリンパスのTG-860とTG-870です。

可変式モニターを搭載した15m防水のオリンパスTG-860

いずれも既に生産終了になっているのですが、何とか復活してほしいものです。

 

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