小学生でも分るドットとピクセルの違い

ドットピクセルの違いをご存じでしょうか?

ネットで調べると、それはそれは間違いだらけの記事を頻繁に見かけます。

ドットピクセル画素の違いが全く分かっていないネットの記事

という訳で今回は、(上の記事の間違いを含めて)その差を分かり易くご説明したいと思います。

ピクセルとは

まずピクセルですが、日本語で画素になります。

先ほどのネット記事の様に、画素のピクセルという日本語はあり得ません。

これはデジタルカメラや液晶モニターの解像度を表すために用いられ、この数が多いほど高精細な画像になります。

1920×1080画素の4Kテレビ

そしてこの1つのピクセルは、それだけで下にある様なフルカラー(全色)を表現できます。

1ピクセルはそれだけでフルカラー(1678万色)を表現できる

なお上のチャートは、簡易的に10×12の120色しかありませんが、実際には1678万色(256諧調の3乗)が表現できます。

また解像度を表現する場合、本来ならば単位長さ当たりのピクセル数で表すべきなのですが、そうすると画面サイズによって値が変わるため、単にピクセル数だけで表示するのが一般的です。

ドットとは

次にドットですが、日本語でという意味です。

これはプリンターの解像度を表すのに用いられ、300dpiとか1200dpiの様に1インチ当たりに打てる点の数で表します。

最大解像度4800×1200dpiのインクジェットプリンター(PIXUS TS3530)

例えば300dpiならば、1インチ(25.4mm)の長さの中に300個の点を打てるという事です。

そしてピクセルとドットの最大の違いは、ドットは下にある単色しか表現できないという事です。

プリンターの1ドットは四つの単色しか表現できない

ではプリンターは、どうやってフルカラーを表現しているのでしょうか?

ドットでフルカラーを表現する方法

その方法は簡単で、3色のドットを混ぜ合わせているのです。

とは言え、単に同じ量だけ混ぜ合わせるのでは、以下の様に7色しか表現する事はできません。

色の3原色だけでは7色しか表現できない

ではどうやっているかと言うと、16×16ドット(すなわち全部で256ドット)のマトリックスの中で色を調合しているのです。

例えば薄い黄色を表現するならばイエローのドットを9個打ち、濃い黄色ならばイエローを256個打ち、薄い赤ならばイエローとマゼンタを同じ所に9個打つといった感じです。

すなわちプリンターの場合、16×16ドット(265ドット)の集合が3色分あれば、1ピクセルになるという事です。

このため仮に4800dpi×1200dpiのプリンターがあったとしたら、これをピクセルで表すと16で割って300ppi×75ppiのプリンターと言えます。

さらにこのプリンターを使ってA4サイズ(297mm×210mm=11.69″×8.27″)にプリントするとしたら、以下の様に218万画素が必要になると言えます。

11.69″×8.27″×300ppi×75ppi=218万画素

検証

さてここまで来たら、今までお話した内容が正しいかどうか検証しなくてはなりません。

そこで登場するのが、キヤノンのHPにあります画素数とプリントサイズの表です。

上の表を御覧頂きますと、A4サイズに必要な画素数は870万画素とあり、先ほどの計算結果の218万画素とは4倍もの開きがります。

そう聞くと、どこぞに間違いがあったと思われるかもしれませんが、ご安心ください。

と言いますのは、そもそもプリントに必要な画素数は、プリンターの解像度によって異なるはずです。

例えばプリンターの解像度が高くなれば、必要な画素数は多くなり、解像度が低ければ少なくなるはずです。

そこで同じくインクジェットプリンターを発売しているエプソンの対応表を見ると、A4サイズは400万画素以上でOKになっているのです。

恐らくですが、エプソンの表は4800dpi×2400dpiクラスのプリンターを想定しているのではないでしょうか。

その場合、また16で割ってdpiをppiに直すと150ppiと300ppiになり、必要な画素数は以下の様になります。

11.7″×8.3″×150ppi×300ppi=437万画素

ではキヤノンの870万画素はどこからでてきたかと言えば、どうやら4800dpi×4800dpi超高解像度のプリンターを想定している様です。

なぜならば、それで計算すると以下の様になるからです。

11.69″×300ppi×8.27″×300ppi=3508画素×2480画素=870万画素

もう一度先ほどのキヤノンの表をお見せしますと、上の値は下一桁まで表の値とピッタリ同じです。

おまけにこの表の上に、300dpiの解像度で印刷するときのおおよその目安とありますが、今から40年前じゃあるまいし今どき300dpiのプリンターなど、世界中どこを探しても存在しないでしょう。

とどめとして、カメラ側のHPにある印刷サイズに適した記録画素数を見ると、A4は4.5M(450万画素)以上とあります。

そんな訳で、キヤノンの先ほどの表はどうみてもおかしいと、断言しても良いでしょう。

まとめ

以上をまとめますと、以下の様になります。

1)ピクセルとは、デジタルカメラや液晶モニターにおいて、フルカラーを表現できる最小単位を指す。

2)ドットとは、プリンターにおいて点を表す最小単位で、それ自体では単色しか表現できない。

3)このためドットでフルカラーを表現するには、16×16ドットのマトリックスが必要になる。

4)すなわちプリンターの場合、16×16の256ドットが1ピクセルと言える。

5)プリントに必要な画素数は、プリンターの解像度によって異なるはずだが、どのメーカーもそれにはあまり気にしていない様である。

7)キヤノンのプリントサイズに対する画素数の目安は、どうみても間違っている。

一流企業の公式HPにあるデータを、間違っていると指摘するのは、本ブログくらいでしょう。

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