かなり使えるGodoxのレトロ調ストロボ (Lux Senior)

2022/11/01

はじめに

これは本当に素晴らしい。

弊サイトにとっては、正に長年探し求めていた理想のクリップオンストロボと言っても良いかもしれません。

それが今年ゴドックスから発売されたレトロストロボ Lux Seniorです。

照射角28mm相当、ガイドナンバー14の Lux Senior

恐らくこのストロボを見た大多数の方は、昭和時代の携帯型フラッシュを模した懐古調ストロボとしか思われないでしょう。

昭和時代に使われた携帯式のフラッシュ本体

ところがどっこい。

本ストロボは、とんでもない実力を秘めているのです。

発光面が大きい

それが何かと言いますと、発光面が非常に大きいという事です。

下は手持ちのクリップオンストロボと発光面の大きさを比べた写真です。

左からゴドックスのTT685IIC、 Lux Senior、TT350C

ご覧の通り、断トツで Lux Seniorの発光面は大きいのです。

恐らくこれだけ発光面の大きなストロボ(直径120mm)は、スタジオ撮影用の大型ストロボでもそうはないでしょう。

発光面が大きいとどんな良い事があるかと言えば、ストロボの光を照射する事によって生ずる被写体の影を薄くする事ができるのです。

ストロボの発光面が小さとクッキリした影ができる

すなわち、ストロボの発光面が大きければ大きいほど、光が柔らかくなるのです。

また発光面が大きいので、瞳に映るキャッチライトも大きくできます。

ではどの位発光面の大きさが違うかを測ってみますと、TT685IICの発光面が65×35mmで面積が2275mm²TT350Cが55×25mmで1375mm²、対するLux Seniorの直径は120mmで面積が11304mm²もあるのです。

すなわちLux Seniorの面積はTT685IICの5倍、TT350Cの8倍もあるのです。

もし光の柔らかさが発光面の面積に比例するとなると、Lux Seniorの光は他のストロボの5~8倍も柔らかいと言えるのです。

と言いたい所ですが、実はもっと柔らかいのです。

一般的なストロボの発光面はもっと小さい

ご存知の様に最近のクリップオンストロボは、ズーム機能と称して光の照射角を広角から望遠まで調整できる様になっています。

この場合、発光面全体が光るのは、照射角を狭めたとき(望遠のとき)で、照射角を拡げたとき(広角時)は、放電管が発光面に近付くため、実質的な発光面は更に小さくなるのです。

論より証拠で、その画像をお見せしますと、以下の様になります。

一般的なストロボの照射角をワイド端にすと発光面は小さくなる

ご覧の通りで、ストロボの実質的な発光面は、ストロボの外観上の発光面よりかなり小さくなる事(約1/3)が分かります。

という事は、Lux Seniorの光は他のストロボの15~24倍も柔らかいと言えるのです。

ちなみに他のストロボの照射角をテレ端にした場合は、以下の様になります。

ストロボの照射角をテレ端にしたときの発光面の大きさ

確かに広角時より発光面が拡がっていますが、どうやら全面ではない様です。

発光面が大きい事の効果

さて発光面の大きさを散々褒めちぎってきましたが、ではその効果は如何程でしょうか。

下は2mほど先にある壁際にある扇風機を撮り比べた写真です。

TT350C(左)とLux Senior(右)で撮り比べた写真

どう見ても色味の違いの方が気になりますが、このくらいの大きさでも、扇風機の影の濃さが異なっているのを分かって頂けると思います。

何だ15~24倍と言いながら大した差はないと思われるかもしれませんが、ワンマンオペレーションでレフ板代わりにストロボを多用する身としては、これだけでも快挙と言えます。

またそれだけではありません。

良く見て頂きたいのは、中央の飾り板に写り込んだストロボの反射光です。

TT350C(左)とLux Senior(右)で撮り比べた写真。

ご覧の通り、明らかにLux Seniorの方が大きく写っています。

という事は、瞳に映るキャッチライトもLux Seniorの方が大きいという事です。

ディヒューザとの比較

とは言え、ストロボの発光面を拡げるには、ディヒューザを使えば良いと思われるかもしれません。

ところがクリップオンタイプに装着する小型のディヒューザは、思ったほど役に立たないのです。

ちなみに下は、Kenko のストロボディフューザーを装着した状態です。

TT350C(右)にKenkoのストロボディフューザーを装着した状態

これでストロボを発光すると、下の様になります。

TT350C(右)にKenkoのストロボディフューザーを装着して発光したところ

ご覧の通りで、光量がかなり低下すると共に、小型ディヒューザの場合、ディヒューザの表面とストロボの発光面が近いので、ディヒューザの表面全体を均一に光らせる事はかなり難しいのです。

それに対してLux Seniorは、この反射板の数センチの奥行でありながらほぼ均一に光っているのが分かります。

この理由は、反射傘の断面が放物線に近い事と、何と言っても放電管が点光源に近いからです。

放物線の壁に当たった平行光は焦点に集まる

一般的な細長い放電管だと、決してこの様な真似はできません。

ガイドナンバー14

とは言えLux Seniorの最大の弱点は、ガイドナンバーがたったの14しかない事でしょう。

実際、一般的なクリップオンストロボのガイドナンバーは大型で60、中型で36程度ありますので、かなり光量に差があります。

ただし、一般的なクリップオンストロボのガイドナンバーは、照射角が一番狭い(望遠側)ときの値なのです。

ガイドナンバーは照射角が2倍になると1/1.4減るので、照射角が28mmの場合は大型ストロボのガイドナンバーは28、小型ストロボの場合で18程度になるのです。

そんな訳で実質的なLux Seniorの光量は小型ストロボ並みといえます。

またガイドナンバーは、ISO感度を上げれば、いくらでも上げる事ができます。

具体的には、ISO感度を1段上げればガイドナンバーは1.4倍に、2段上げれば2倍になりますので、ISO800にすればガイドナンバーは40にもなるのです。

このためISO感度を上げ易い夜間の撮影でしたら、何の問題もありません。

またISO感度を上げ難い日中シンクロにおいては、ISO100でシャッタースピードがストロボ同調速度内であれば、F5.62.5m先の被写体を適正露出で照射する事ができます。

このため日中シンクロで、逆光の被写体を補助的に照らす(或いは瞳にキャッチライトを入れる)程度でしたら、被写体までの距離が4~5m程度までなら十分使用可能です。

 

色温度が6000K±200K

そしてもう一つの問題は、色温度が6000±200Kと少々高い(一般的には5500K前後)という事です。

このため先ほどの写真の様に少々青っぽく写るのですが、これ自体大きな問題ではないでしょう。

まとめ

そんな訳で、小型軽量のクリップオンストロボで、少しでもストロボ光による被写体の影を薄くして撮りたい場合は、このLux Seniorは昼でも夜でもお勧めと言えます。

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