ストロボ同調速度によってストロボ光の到達距離はどれくらい変わるのか
(1/200秒と1/250秒の差)

2022/08/09

はじめに

先日、日中シンクロで遠くの被写体を照らすにはハイスピードシンクロか?それとも通常発光か?という話をさせて頂いたのですが、今回はその続きです。

最近のミラーレスカメラのストロボ同調速度は、ほぼ1/200秒か1/250秒辺りではないでしょうか。

またEOS R5やR6の様に、電子先幕シャッターの場合で1/250秒、両幕メカシャターで1/200秒というのもあります。

EOS R6のストロボ同調速度は、1/250秒(電子先幕)と1/200秒(メカ)

ではストロボ同調速度の1/200秒と1/250秒では、日中シンクロにおいてどれくらいの差があるのでしょうか?

単純に1/200秒と1/250秒の比較では、倍数で1.25倍、段数で0.3段程度の違いでしかありませんので、大差ないと思われる事でしょう。

確かにそうなのですが、同じISO感度であれば1/250秒は1/200秒より絞りを0.3段開ける事ができ、僅かながら背景をよりボカス事ができます。

それと、もう一つ言える事があります。

それは、絞りを開ける事ができる分、ストロボ光の到達距離を延ばせる事です。

それでは下の様な写真の条件において、ストロボを使って逆光の人物を明るくする場合を考えてみます。

焦点距離24mm F5 1/500秒 ISO100

1/200秒のストロボ光到達距離

このとき、(ハイスピードシンクロより通常発光にした方が光は遠くに届くので)シャッタースピードをストロボ同調速度の1/200秒にしたとします。

すると、絞りはF5からF7.8にまで絞らなければなりません。

仮にストロボのガイドナンバーが60だとしますと、この場合60÷7.8で7.7mまでストロボの光が届く事になります。

1/250秒のストロボ光到達距離

次にシャッタースピードをストロボ同調速度の1/250秒にしたとしますと、絞りはF7.1になります。

という事は、ガイドナンバー60のストロボの光は、8.5mまで届くのです。

たったそれだけの差かと思われるかもしれませんが、日中シンクロの場合光量に余裕があって困る事はありません。

1/320秒のストロボ光到達距離

ついでなので、Lumix S1シリーズのストロボ同調速度1/320秒についても考えてみると、その場合の絞りはF6.3で、ストロボ光の到達距離は9.5mになります。

        
ストロボ同調速度1/320秒のLumix S1シリーズ

1/400秒のストロボ光到達距離

さらにα1の電子先幕シャッターのストロボ同調速度1/400秒の場合でしたら、絞りはF5.6で、到達距離は10.7mになります。


ストロボ同調速度1/400秒を達成したソニーのα1

まとめ

以上をまとめると、以下の様になります。

ストロボ同調速度 絞り値 到達距離
1/200秒 F7.8 7.7m
1/250秒 F7.1 8.5m
1/320秒 F6.3 9.5m
1/400秒 F5.6 10.7m
1/2000秒 F2.5 24m

EV13.6の日中シンクロでガイドナンバー60のストロボ光の到達距離

そんな訳で、ストロボ同調速度は、(単なるお飾りではなく)日中シンクロにおいて重要な意味を持っているのを分かって頂ければと思います。

1/2000秒のストロボ光到達距離

ところで先ほどの表の中に、ストロボ同調速度1/2000秒があるのに気付いて頂けましたでしょうか?

そんなカメラはないだろうと思われるかもしれませんが、それがあるのです。

それは、レンズ一体型のカメラです。

レンズ一体型カメラの殆どが、全速ストロボ同調可能なレンズシャッターを採用していますので、最速のシャッタースピードが1/2000秒ならば、1/2000秒でストロボが同調するのです。


ストロボ同調速度1/2000秒のPowerShot G1 X Mark III

その場合、ストロボ光の到達距離は24mにもなるのです。

こと日中シンクロにおいては、レンズシャッターを搭載したレンズ一体型カメラが格段に優れているのを分かって頂けると思います。

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