目次
はじめに
スマホを使って写真の楽しさが分かってきたら、もっと綺麗な写真が撮りたいと思われる方は多いのではないでしょうか。
そう思ってカメラ店を覗くと、恐らく勧められるのは下にある今どきの売れ筋のカメラになるのでしょう。
α6400 APS-Cサイズ (2400万画素) |
EOS Kiss M2 APS-Cサイズ (2400万画素) |
X-A5 APS-Cサイズ (2400万画素) |
E-PL10 マイクロ4/3 (1600万画素) |
確かにこれらのカメラでも良いのですが、いざ撮ってみると、スマホとそれほど画質が違わないと思われるかもしれません。
何故ならば、後ほどお話ししますが、スマホには画質を良くするために秘密の手が加えられているからです。(詳細はこちら)
スマホとカメラの画質の差
ではスマホとカメラでは、どれくらい画質の差があるのでしょうか。
カメラの画質が良いのは、スマホより撮像素子が大きいからなのは何方も良くご存知の事でしょう。
これをもっと正確に言えば、1画素の面積が大きければ大きいほど、1度に取り込める光の量が多くなり画質が良くなると言えます。
ではこのスマホとカメラの1画素の大きさがどれくらい違うかを、正確に知りたくはないでしょうか。
そう思って作ったのが、下のチャートになります。
これはスマホの1画素の大きさを基準として、カメラの1画素の大きさを段数で表示したものになります。
この段数表示とは、カメラで良く使われる2進対数表示の事なのですが、難しい事は抜きにしてここでは倍率表示だとグラフが無用に長くなるのを抑えた表示方法だと思って頂ければ良いと思います。
このチャートをご覧頂きます様に、代表的なスマホ(1/2.3型の1200万画素)の1画素を赤い横棒のゼロ段とすると、カメラの1画素はそれより0.5段から4.9段近く大きいのが分かります。
ここで先ほどの4台のカメラを見てみると、いずれも2.5段ほどスマホより良いと言えます。
と言いたい所ですが、実はそうではないのです。
ここに先ほどお伝えした秘密が隠されているのです。
この2.5段良いのは、あくまでもスマホもカメラも同じISO感度で撮っている場合なのです。
ところが、iPhone等のスマホは明るい所ではISO25の低感度で撮影していますので、カメラがISO100で撮っているとしたら、スマホの画質は下にある赤い縦線のプラス2段まで画質が良くなるのです。
これを分かり易く説明すると、ISO25で撮るにはシャッタースピードをISO100のときより2段長くしなければならないため、1画素の受光量が2段増えて、画質も2段向上するという訳です。
このため一部のカメラの画質はスマホに追い抜かれ、先ほどまで最大で5段もあった画質の差が2.9段にまで縮まるのです。
実際同じ1/2.3型の撮像素子を搭載したコンデジの最低常用ISO感度は100前後ですので、撮り比べると明らかにスマホの方が画質が良いのです。
コンデジがスマホに淘汰されたのは、単に携帯性が優れているからと思われていますが、実はこんなカラクリも潜んでいたのです。
なお念のためにお伝えしておきますと、ISO25の低感度で撮れるスマホは、逆に高感度特性は劣りますので、暗闇にはめっぽう弱いのはご存知の通りです。
ではこの赤い縦線と前述のカメラ4機種を再度比べてみると、スマホより画質は良いとは言え、その差は0.5段程度しかないのです。
それを知ってしまうと、多少高くてもできれば撮ったその瞬間から画質が良くなったと実感できる様なカメラが欲しくなるのではないでしょうか。
そんな訳でこれからいよいよ、スマホからステップアップして画質の良さが即実感できる入門用カメラをご紹介したいと思います。
画質の良い入門機
Nikon Z 5(もしくはNikon Z 6)
そのトップは、Nikon Z 5(もしくはNikon Z 6)です。
Nikon Z 5 (2400万画素) |
Nikon Z 6 (2400万画素) |
両機はフルサイズで2400万画素の撮像素子を搭載していますので、下のチャートにあります様に、iPhone等のスマホと比べても2段近く画質が良くなります。
これくらいの差があれば、誰でも撮った瞬間に画質の良さを実感できる事でしょう。
ただしそうは言っても先ほどご紹介した一般的な入門機よりかなりお高いのですが、ボディー内手振れ補正機能付きのフルサイズ機でありながらボディーだけで15万円前後はかなり魅力的です。
なおZ 6は一世代前の機種ではありますが中級機にあたり、フルフレームで4K30PとFHD120Pの動画も撮れますので、今後動画もやってみたい方には打って付けかもしれません。
ちなみに、Z 5の動画性能はクロップの4K30PとFHD60Pまでです。
ただしZ 6はXQDカードもしくはCFexpress カード(Type-B) しか使えませんので、購入後更に数万円の出費を覚悟しなければなりません。
MC-XQ64G (64GB) |
QD-G64F (64GB) |
CEB-G128 (128GB) |
LCFX10-128CRB (128GB) |
PGCFX128GAPNA (128GB) |
XQDカード | CFexpress カード(Type-B) |
そんな訳で、性能的にはZ 6の方が明らかに上なのですが、入門機としてはZ 5の方が妥当かもしれません。
ただしここで非常に大事な注意点があります。
レンズも重要
恐らく何方でも、フルサイズ機を購入すれば、あとはどんなレンズを付けても画質はスマホより良いと思われる事でしょう。
ところが、そこに大きな落し穴(誤解)があるのです。
通常入門機を購入するとなると、下にある様なお手頃価格で軽くて暗いズームレンズを同時に購入するのが一般的です。
Z 24-50mm f/4-6.3 |
Z 24-200mm f/4-6.3 VR |
そうなるとどうしても、(レンズが暗い分)ISO感度を上げ気味にして撮る事になります。
すると途端に、スマホと同じ画質になってしまうのです。
既にお伝えしました様に、スマホがISO25のときに本機がISO100で撮っていれば確かに画質は2段ほど良いのですが、レンズが暗い分カメラのISO感度を2段上げてISO400にすると画質はスマホと同じになり、ISO800ではスマホに抜かれる事になるのです。
スマホのレンズの開放値は、以前でしたらF2.8程度だったのですが、今ではF1.8程度にまで明るくなってきています。
という事は、それ(F1.8)より2段暗い開放値F3.6以下のレンズを使ってISO感度をISO400に上げると、スマホと同じ画質になってしまうのです。
このため、もし画質にこだわるのでしたらできればF1.8以上、最低でもF2.8以上のレンズが欲しい所です。
そうすれば、F1.8で2段、F2.8で2/3段スマホより画質が良くなります。
ただし、F1.8の様に明るいズームレンズは存在しないし、F2.8でもとんでもなく高くなります。
そこでお勧めするのが、単焦点レンズです。
Z 28mm f/2.8 (ノーマル) |
Z 28mm f/2.8 (スペシャルAD) |
Z 40mm f/2 |
現在ニコンのZレンズには、上にある入門用の単焦点レンズが2種類存在していますので、1本目は28mm F2.8の単焦点レンズを選択するのはいかがでしょうか。(28mmの2本は外観が異なるものの中味は同じ)
ズームレンズに対して単焦点レンズは、構図を決めるのにカメラを持って前後しなければならないのが辛い所ですが、28mmの広角レンズは一般的なスマホの標準レンズと同じなので、スマホに慣れていれば使い込なすのはそれほど難しい事ではないでしょう。
また単焦点レンズを使っていれば、(見る人が見れば)かなり通だと思われるのは間違いありません。
なお40mmはスマホの望遠レンズと同じ画角なのですが、意外に被写体が大きく写るので、慣れていないと少々使い辛いかもしれません。
そんな訳で、幣サイトの一押しは下にありますNikon Z 5とNikkor Z 28mm f/2.8の組み合わせになります。
またどうしてもキットズームレンズ(Z 24-50mm f/4-6.3 )を購入するのでしたら、(多少シャッタースピードが遅くなってでも)ひたすらISO100にこだわって撮って頂ければと思います。
そうすればフルサイズ機の画質の良さをある程度堪能する事ができます。
なお本機以外にも2400万画素以下のフルサイズ機は多々あるのですが、どれも20万円以上と高価なのでここでは除外します。
α7 III (2400万画素) |
α7C (2400万画素) |
Nikon Z 6II (2400万画素) |
EOS R6 (2000万画素) |
Lumix S5 (2400万画素) |
EOS RP
続いては、キヤノンのEOS RPです。
EOS RP (2600万画素) |
本機は2600万画素のフルサイズ機で、画質からすれば僅かにNIkonZ 6やZ 5から劣る事になるのですが、その差は僅かなので、価格からするとむしろこちらの方が本命と言えるかもしれません。
何しろフルサイズ機でありながら、10万円以下で買えるのですから。
ただしボディー内手振れ補正は搭載していないものの、フィルムカメラ時代はそんな物は無かった事を考えると、大した問題ではないでしょう。
ましてや、いきなり手持ちで夜景を撮影する様な無謀な事もしないでしょうし、レンズ内手振れ補正があれば十分でしょう。
またこちらも(Nikon Z 6やZ 5と同じ様に)、もし画質を最優先するのであれば、キット用のズームレンズではなく単焦点レンズを強くお勧めする次第です。
RF24-105mm F4-7.1 IS STM (395g) |
RF16mm F2.8 STM (105g) |
RF35mm F1.8 MACRO IS STM (0.5倍、305g) |
RF50mm F1.8 STM (160g) |
RF85mm F2 MACRO IS STM (500g) |
選択方法としては、もしレンズを1本購入するのであればマクロレンズとしても使え、5段分の手振れ補正も搭載しているRF35mm F1.8、そしてもし風景を撮るのであれば追加でRF16mm F2.8、もし人物を撮るのであればRF50mm F1.8もしくはRF85mm F2といった感じでしょうか。
ただし本機には二つほど懸念点があります。
その一つ目は、電子先幕シャッター(片幕のメカシャッター)しか搭載していない事です。
このため明るいレンズを使って、高速のシャッタースピードで撮ると、下の様に背景のボケが欠ける現象が発生します。(詳細はこちら)
ただしこれは下のチャートのにあります様に、F2.0程度であればEOS RPの最高シャッタースピードである1/4000秒でもボケが欠けるほどにはならないので、特に気にする必要はないでしょう。
またもう一つの懸念点は、動画が4K25Pまでな事ですが、今どき一般的なFHD60Pが撮れますので、然程気にする事もないでしょう。
Nikon Z50 or Nikon Z fc
最後は、Nikon Z 50とNikon Z fcです。
Nikon Z 50 body |
Nikon Z fc body |
両機は外観こそ異なれど、中身は全くと言って良いほど同じで、いずれも2000万画素のAPS-Cサイズ機です。
このため下のチャートにあります様に、(前述のフルサイズ機より1段ほど劣るものの)最新のスマホと比べても0.9段画質が良くなりますので、何とか画質の良さを実感できると思います。
ただしここでも同じ注意点があります。
恐らくこの手のカメラを購入する場合も、お手軽な(暗い)ズームレンズを購入する事になると思います。
Nikon Z 50 Wレンズキット |
Nikon Z fc レンズキット |
Nikon Z fc レンズキット |
このため、明るい単焦点レンズをお勧めしたい所ですが、現在ニコンにはAPS-Cサイズの単焦点レンズはありません。
このためZ6やZ5と同様にフルサイズ機用の以下の入門用レンズを選ぶ事になります。
Z 28mm f/2.8 (ノーマル) |
Z 28mm f/2.8 (スペシャルAD) |
Z 40mm f/2 |
なおこの場合は、APS-Cサイズにクロップされる事から、28mmが42mmに、40mmが60mmの画角になります。
そうなるとNikon Z fcにZ 28mm f/2.8(スペシャルAD)を付けて42mmの画角で撮るのが、一番お洒落で妥当な組み合わせと言えそうです。
なお本機は、ノンクロップの4K30PとFHD120Pに対応していますので、入門機としては十分でしょう。
まとめ
1押し:EOS RPとRF35mm F1.8 MACRO IS STM
そんな訳で幣サイトの一押しは、価格が安くて高画質なEOS RPとRF35mm F1.8 MACRO IS STMの組み合わせ。
2押し:Nikon Z 5+Nikkor Z 28mm f/2.8
2番目は、一番画質の良いNikon Z 5とNikkor Z 28mm f/2.8の組み合わせ。
3押し:Nikon Z fc+Nikkor Z 28mm f/2.8 Special Edition
3番目は、小型でお洒落で画質もそこそこなNikon Z fcとNikkor Z 28mm f/2.8 Special Editionの組み合わせです。
少しはお役に立ちましたでしょうか。