長秒時露光のノイズ低減は無用の長物

はじめに

またまたカメラ界の常識を覆す試験結果が出てしまいました。

先日こちらの記事で予告していました様に、EOS R8の長秒時露光のノイズ低減によってノイズレベルがどれくらい向上するか調べてみました。

長時間露光で発生するノイズとは、高感度撮影時に発生するランダムなノイズ(ザラつき)と違って、決まった場所に発生するノイズ(輝点、ムラ)です。

このためここでは、一般的な高感度撮影時に発生するノイズをランダムノイズ、長時間露光で発生するノイズを局所ノイズと呼ぶ事にします。

この局所ノイズは、同じ条件で撮影すれば同じ場所に同じ程度に発生しますので、元画像から局所ノイズの乗った画像を引き算してやれば消す事ができます。

ただし撮影に倍の時間を要しますし、実際に撮り比べても殆ど差を感じない事から今までは使っていませんでした。

ところが今は、JPEGファイルの容量でノイズレベルを定量的に測れる事から、この長秒時露光のノイズ低減によってどれくらいノイズレベルが改善するか正確に判断できます。

と思って調べた所、お伝えしました様に予想外の結果になりました。

高感度撮影時のノイズ低減ONとOFFの比較

下はEOS R8を使って、高感度撮影時のノイズ低減をOFFにした状態で、長秒時露光のノイズ低減をOFFしたときとONした時を比べたものです。

ISO感度全域を試験するのが面倒なので、今回は星空撮影で使うISO3200~12800に絞っています。

またシャッタースピードは、ISO3200が20秒、ISO12800のときが1/5秒になっています。

上のチャートを見て、どちらが長秒時露光のノイズ低減をONしたか、分かりますでしょうか?

何方もノイズレベルの良い(ファイル容量の小さな)青線だと思われるでしょうが、実は逆のオレンジ線なのです。

すなわち長秒時露光のノイズ低減をONすると、ランダムノイズは増えるのです。

予想としては、局所ノイズ(輝点やムラ)はJPEGの圧縮には全く影響しない事からファイル容量は変わらないと思っていたのですが、よもや増えるとは予想だにしませんでした。

実際画像を見比べてみると、間違いなく長秒時露光のノイズ低減をONした方がざらついた画像になっています。

長秒時露光のノイズ低減OFF(左)とON(右)の200%拡大画像

この理由ですが、一般的なノイズ低減処理であるマルチショットノイズリダクションは平均化処理(2枚の画像を足して2で割る処理)を行なっています。

これによってランダムノイズも平均化されて半分になります。

それに対してこの長秒時露光のノイズ低減は、元画像から真っ暗画像を引き算します。

ここで真っ暗画像が局所ノイズだけなら良いのですが、少なからずランダムノイズも乗っているのでしょう。

このため、ランダムノイズからランダムノイズを引く事になるので、結局ランダムノイズが増える事になるのです。

この推測が合っているかどうかはともかくとして、現実として長秒時露光のノイズ低減を使うと画質が悪くなるのは間違いありません。

局所ノイズは乗っているのか

それでは次に、長秒時露光のノイズ低減をOFFした画像に、局所ノイズが乗っているかどうかを調べてみます。

長秒時露光のノイズ低減をOFFした画像の一部分

ところが目を皿の様にして見ても、それらしい物は全く見当たりません。

それで思ったのですが、昔の撮像素子ならともかく、今どきの撮像素子においては、シリコン基板の欠陥とも言える局所ノイズは殆ど発生しないのではないでしょうか。

実際EOS R8の長秒時露光のノイズ低減メニューには、ONとOFF以外にAUTOが存在しており、これは以下の様に局所ノイズが検出されたときだけノイズ低減処理が行われるとあります。

だったらAUTOに設定するのが一番の様に思いますが、そんな事は言いません。

大した局所ノイズでもないのに、いきなり長秒時露光のノイズ低減が働いて画質を低下させられるのも困ります。

そんな訳で弊サイトの結論としては、長秒時露光のノイズ低減は常にOFFにすべきとしたいと思います。

シャッタースピードとノイズレベルの関係

ついでなので、これも見ておきましょう。

ランダムノイズへの寄与度は、当然ながらISO感度が最も大きいのでしょうが、シャッタースピード(撮像素子の電荷蓄積時間)でノイズレベルは変わるのか見ておきたいと思います。

下は以前測定したシャッタースピード1秒未満におけるEOS R8のノイズレベルの試験結果を、今回の結果に重ね合わせたものです。

ご覧の通り今回の青いライン(シャタースピード1秒以上)と前回グレーのライン(シャタースピード1秒未満)は、ほぼ重なります。

このため、ノイズレベルに関してシャッタースピードの影響は無いと言って良さそうです。

まとめ

まとめとしては、以下の通りです。

1. 長秒時露光のノイズ低減をONすると、ランダムノイズが多くなり明らかに画質が低下する。

2. この原因は、ランダムノイズの乗った画像から、同じくランダムノイズの乗った画像を引き算するためと思われる。

3. にも関わらず、長秒時露光のノイズ低減をOFFした画像には、局所ノイズの発生は認められない。

4. このため、余程の理由が無い限り長秒時露光のノイズ低減は、常にOFFにしておくのが賢明である。

5. なお余談ながら、1秒以上のスローシャッターを使う場合のランダムノイズへの影響は認められない。

 

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