ハイスピードシンクロに必要なストロボの光量

2021/09/13(月)

はじめに

先般こちらの記事でお伝えしました様に、下の写真の様な真夏のビーチであっても、絞りを絞ってシャタースピードをストロボ同調速度にして撮れば、ガイドナンバー20程度の小型ストロボでも日中シンクロが可能だとお伝えしました。

1/250秒 F5.6 ISO100 ストロボ発光

ただし、もっと絞りを開けて撮りたいのならば、シャッタースピードをストロボ同調速度より速くしてハイスピードシンクロを使わなければなりません。

ではその場合、必要となるストロボのガイドナンバーはどれくらいなのでしょうか。

今回はその謎を紐解いてみたいと思います。

ハイスピードシンクロとは

先ずハイスピードシンクロについて、ご説明しておきましょう。

ハイスピードシンクロとは、通常のストロボ発光が瞬間的に1回発光するのに対して、シャッターが動作している間に高速で連続発光するモードの事です。

ストロボの通常発光とハイスピードシンクロの違い

このため、通常発光に比べて大幅にガイドナンバーが低下します。

ハイスピードシンクロにすると、どれくらいガイドナンバーが低下するのか

ではどの位ガイドナンバーは低下するのか調べてみます。


ソニーの大型クリップオンストロボHVL-F60RM

下はソニーの大型クリップオンストロボであるHVL-F60RMの通常発光時とハイスピードシンクロ時のガイドナンバー表の抜粋です。

通常発光時

HVL-F60RMの通常発光時のガイドナンバー

ハイスピードシンクロ時

HVL-F60RMのハイスピードシンクロ時のガイドナンバー

これをご覧頂きます様に、通常発光時は照射角200mmでガイドナンバーが60だったのに対して、ハイスピードシンクロの1/250秒では16.7と1/3.5にガイドナンバーが低下しています。

さらに1/1000秒では、1/7に低下しています。

すなわち同じシャッタースピード1/250秒でも、ハイスピードシンクロにすると通常発光に対してガイドナンバーは1/3.5に低下すると共に、シャッタースピードを更に上げるとガイドナンバーも更に低下するという事です。

具体的には、ハイスピードシンクロにした場合、シャッタスピードを1段上げるとガイドナンバーが1/√2、すなわち1/1.4下がる事が分かります。

ハイスピードシンクロに必要なガイドナンバー

では下の写真の場合において、シャッタースピードを1/160秒から1/320秒にして、ストロボを通常発光からハイスピードシンクロに変更したら、必要なガイドナンバーはどれくらいになるでしょうか?

1/160秒 F10 ISO100(EV14)

シャッタースピードを1/160秒から1/320秒に1段速くするのに伴って、(同じ背景の露出を維持するため)絞りを1段開けてF7.1にします。

被写体までの距離が2mだとしますと、そのときに必要な光量(ガイドナンバー)は2×7.1で14.2になります。

ハイスピードシンクロでガイドナンバー14.2という事は、通常発光ではその3倍になり、ガイドナンバ43(下にある430EX III-RT)以上のストロボが必要になるという事です。


EL-1

600EX II-RT

430EX III-RT

EL-100(GN26)

270EX II

そんな訳で同じ日中シンクロであっても、ハイスピードシンクロを使って絞りを開けて撮ろうとすると、やはりそれなりの大型ストロボが必要になるという訳です。

別の言い方をすれば、もし手元に小型のストロボしかなくても、ストロボ同調速以下で絞りを絞って使えば、日中シンクロにも十分使えるという事です。

1/8000秒にしたらどうなるのか

ついでですので、シャッタースピードを1/8000秒にした場合も調べておきましょう。

先ほどのソニーのデータシートを見ると、照射角200mmの1/8000秒におけるガイドナンバーはたったの3と、通常発光の1/20しかありません。

そうなるとで、真夏のビーチではとても使えないと思われるのではないでしょうか?

ところがそうでもないのです。

下の写真の場合において、シャッタースピードを1/8000秒にすると絞りは5.6段開けてF1.4になります。

1/160秒 F10 ISO100(EV14)

被写体までの距離が2mだとしますと、そのときに必要な光量(ガイドナンバー)は2×1.4で2.8で済むのです。

ハイスピードシンクロでガイドナンバー2.8という事は、通常発光ではその20倍であるガイドナンバー56のストロボで対応可能という事です。

すなわち、ガイドナンバー60程度の大型ストロボがあれば、真夏のビーチでも絞りを開放気味にした日中シンクロがある程度可能という事です。

まとめ

以上をまとめますと、以下通りです。

①もし手元にガイドナンバー20程度の小型ストロボしかなくても、絞りを絞ってストロボ同調速度以下で使えば、真夏のビーチでも被写体まで距離2m程度であれば日中シンクロが行える。(詳細はこちら)

②ただし同じ真夏の日中シンクロであっても、ハイスピードシンクロを使って絞りを開けて撮ろうとすると、やはりそれなりの大型ストロボが必要になる。

③ガイドナンバー60程度の大型ストロボがあれば、真夏のビーチでもハイスピードシンクロを使って絞りを開放気味にした日中シンクロがある程度可能である。

覚えておいて損はないでしょう。