メカシャッター(フォーカルプレーンシャッター)と電子シャッターの違いをご存知でしょうか。
当然ながらメカシャッターとは機械式の開閉機構で、電子シャッターはそれが存在せずシャッター動作を撮像素子側で電気的に行うものです。
両者の主な違いをネットで調べると、以下の様になります。
項目\種類 | メカシャッター | 電子シャッター |
長所 | 動体歪みが発生しない フリッカー現象が起きにくい ストロボが使える |
シャッター音を無音にできる シャッタースピードを高速にできる 高速連写できる シャッターの振動によるブレがない 耐久性がある |
短所 | シャッター音がある 連写速度が遅い シャッターの振動によるブレが生じる |
動体歪みが発生しやすくなる フリッカー現象が起こる ストロボが使えない |
恐らくこれをご覧の方も、ほぼ同じ認識ではないでしょうか。
何しろネット上には、これと同じ様な説明が溢れているからです。
ただしもう少しカメラに詳しい方でしたら、電子シャッターでストロボが使えないというのは間違いだとご存知かもしれません。
実際下にありますNikon 1シリーズは、電子シャッターしか搭載していないのにも関わらず、10年以上も前からストロボ同調が可能なのですから。
またもっと詳しい方でしたら、メカシャッターでは動体歪みが発生しないというのも、大嘘だというのもご存知でしょう。
実際下の写真の様に、メカシャッターであっても動体歪みが発生するのですから。
そしてもっと詳しい方でしたら、太文字の記載は全て間違いだというのをご存知の事でしょう。
何故ならば、メカシャッターと電子シャッターが画像の取り込み方法は全く同じなので、この違いはメカとか電子の違いではなく幕速度の違いから来ているからです。
すなわち、もし両者の幕速度が同じであれば、同じ様に動体歪みやフリッカーが発生し、もし電子シャッターの幕速度がメカシャッターを上回れば、それぞれの長所と短所は逆転するのです。
確かに今まででしたら、メカシャッターの方が電子シャッターの幕速度より早かったので、これらの記述を間違いとは言い切れなかったのですが、これからは違います。
何故ならば、ついにメカシャッターの幕速度を超える電子シャッターを搭載したカメラが登場したからです。
それがご存知キヤノンのEOS R1です。(その前にグローバルシャッターを搭載したソニーのα9 IIIがあるのですが、ここではローリングシャッターを搭載したEOS R1としておきます)
これが登場した事により、先ほどの表の記述は明らかに間違いだと断言できる様になりました。
とは言え、依然この記述は正しいと思われている方は少なからずいらっしゃる事でしょう。
ですがその誤解が解けるのも、もう時間の問題です。
と言いますのは、このEOS R1は何と依然メカシャッターを搭載しているのです。
そうなると間もなくEOS R1を使って、電子シャッターとメカシャッターで、動体歪みやフリッカーの比較をやる人が出て来るでしょうから、それを待っていれば良いのです。
そう思うと、キヤノンがEOS R1からメカシャッターを削除しなかったのは、頭の固いユーザーにそれを思い知らせるためではないかとさえ思ってしまいます。
それはともかく、何故にこんな話を長々と続けたかと言えば、次にお話しする内容が、これを前提にしなければ説明できないからです。
という訳で、いよいよこれからNikon Z 9でハイスピードシンクロ撮影を行なうと、何故横縞が発生するかについて解説します。
Nikon Z 9の仕様書において、フラッシュ同調シャッタースピードを見ると、以下の様な注意書きがあります。
フラッシュ同調シャッタースピード | 1/250秒または1/200秒以下の低速シャッタースピードで同調(1/200~1/250秒はガイドナンバーが減少)。1/8000秒までのシャッタースピードでオートFPハイスピードシンクロ可能 ※オートFPハイスピードシンクロ時、シャッタースピードによっては撮影画像に横縞が発生することがあります。 |
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メインの疑問は横縞なのですが、これ以外になぜZ 9にはストロボ同調速度が二つ記載されているのかと、なぜ1/200~1/250でガイドナンバーが低下するのかについても解説します。
続きは以下で、
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