ニコンのISO AUTOの設計思想

はじめに

以前ニコンの魔訶不思議なISO AUTOの記事で、ニコンのISO AUTOは他社と異なり、ISO AUTOでもISO感度を設定できるとお伝えしました。

ニコン機においてはISO AUTOの状態でISO感度が設定できる

これに関して、その目的(ニコンの設計思想)がどうしても分からないため、思い切ってその露出パンを調べてみる事にしました。

ISO AUTO 100の露出パタン

先ずは、他社機のISO AUTOと同じ様な露出パタンになるであろう、ニコン機のISO AUTOにおいてISO100を設定した場合です。

下は手持ちのNikon Z 50に標準ズームレンズであるNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRを画角24mm相当にして、絞り優先ISO AUTOを100に設定した場合の露出パタンです。

するとご覧の通りで、確かに他社機のISO AUTOと同じ様なごくごく一般的な露出パタンになりました。

少し解説しますと、絞り優先AEを使っていますので、当然ながら絞りは値は明るさが変わっても常に一定(この場合F5.6のまま)です。

また明るい所では、画質の良い(設定した)ISO100で撮り続け、露出はシャッタースピードで調整されます。

そしてシャッタースピードが手ブレの限界である(この場合は画角24mmのため)1/25秒に達した所で、ISO感度が徐々に上がっていきます。

そしてISO感度が制御上限感度であるISO6400に達すると、再度シャッタースピードが遅くなっていきます。

ISO AUTO 800の露出パタン

それでは次にISO AUTOをISO800にした場合です。

するとご覧の通りで、(ISO AUTOでありながら)最低ISO感度がISO800になっています。

すなわち、他社のカメラを使っていた方が、ISO AUTOでうっかりISO感度を上げてしまうと、ISO AUTOでありながら必要以上にISO感度を上げた写真を撮り続ける事になるのです。

ニコンの設計思想とその弊害

以上の事からニコンのISO AUTOとは、他社機とは異なりISO感度の下限値を簡単に設定できるISO AUTOと言えそうです。

そうなると他社機を使い慣れている身からすれば、そんなものは不要だと思うかもしれませんが、あのニコンがそんな安直な設計思想でこの仕様を決めたとは思えません。

そこで思い付くニコンの設計思想は以下です。

ニコンのISO AUTOの設計思想

ユーザーがISO感度を故意に上げる場合であっても、何もその値に固定する必要はない。

むしろISO AUTOのままにしておいて、シャッタースピードが規定値(手振れ限界もしくはユーザーが設定した低速限界)を超えた場合、更にISO感度を自動で上げた方が、ユーザーにとって利便性は高い。

確かにそう言われると納得できない事もありません。

このため他社機のユーザーがニコン機を使う場合においても、普段通りにダイヤルを回してISO感度を(ISO AUTOのまま)上げれば良いと言えます。

そうすれば、もしさらにISO感度を上げる必要に迫られたら、カメラが自動でISO感度を上げてくれるのです。

ただし、いくつか注意する点があります。

他社機ユーザーがニコンのISO AUTOを使う上での注意点

先ず1点目は、ISO AUTOで高感度の設定にしたままでいると、シーンが変わってISO感度を下げられる場面であっても、ISO AUTOで高感度のまま撮ってしまう事です。

ちなみにこのISO AUTOの設定値は、電源をON/OFFしても、露出モードを変えても維持されます。

ただしユーザーセッティングモード(U1、U2等)の場合は、電源ON/OFFで解除されます。

またこのISO AUTOで設定したISO感度は、一度ISOボタンを押さない限り確認する事はできません。

一方他社機の場合、ISO値を変えた場合ISO AUTOの”AUTO”の文字は消えますので、その心配はニコン機ほどではないと言えます。

2点目は、他社機の場合、ISO値を変更すれば自動的にISO固定になるのですが、ニコン機の場合、ISO値を固定するためには、更にISO AUTOを解除するための操作が必要になります。

3点目は、ニコン機の場合、ISO感度がISO AUTOの設定値から外れた場合、そのISO値が点滅し続けます。

例えばISO AUTOでISO100に設定して、カメラが自動でISO200にしたとすると、ISO200が点滅し続けます。

些細な事ですが、結構気なります。

まとめ

以上をまとめますと、以下の様になります。

①ニコン機のISO AUTOは、他社機と違ってISO感度の下限値を簡単に設定できる機能を有している。

②このため他社機の様に、ISO感度を変えると感度が固定されるものより、多少フレキシブルと言える。

③ただしこの設定値の変更を忘れていると、ISO AUTOであっても無駄に高感度で撮ってしまう恐れがある。

いずれにしろニコンユーザーはこのISO AUTOを使いこなしているのでしょうから文句を言う筋合いはないのですが、他社機からニコン機に乗り換える場合は、注意しておいた方が良さそうです。

 

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