背景までの距離を半分にしたらボケの大きさはどうなるのか?

はじめに

写真撮影において、背景が遠いほどボケ易いのは周知の事実です。

背景の点光源が被写体から1mと4mの写真

では背景の距離が2倍になったら、ボケ量はどれくらい変わるのでしょうか。

今回はそれについて解説してみたいと思います。

実験結果

先ずは下の写真をご覧ください。

これは、85mm F1.2のレンズを使って1.2m先にあるマネキンにピントを合わせ、背景にある点光源をマネキンから1mから6.2mに徐々に離しながら撮った写真です。

これをご覧頂きます様に、1mから2mではボケの変化量が大きい(1.4倍)にも関わらず、3mから6.2mではそれほど違いがない(1.2倍)のに気づいて頂けるでしょう。

これから言える事は、被写体から背景までの距離はボケ量に関して一義的な関係はなく、点光源が被写体の近くにあるほどボケの変化量は大きくなり、離れるとボケの変化量は小さくなるという事です。

計算結果

そうなると、ではどれくらい被写体と背景を離したら、最も効率良く背景をボカせるのか知りたくなってきます。

そう思って計算で求めたのが、以下のチャートになります。

このチャートは、85mm F1.2のレンズを使って、被写体から点光源を徐々に離す事により、撮像素子上の点光源のボケ(直径)がどれくらい大きくなるかを示しています。

また青色の線は被写体までの距離が1m、オレンジは2m、グレーは3mの場合を示します。

これをご覧頂きます様に、被写体から背景までの距離が5m以内であればボケは急激に大きくなるものの、10mを超えると殆ど大きさが変わらないのが分かります。

またこの傾向は、どの色のカーブも同じなので、(ボケの大きさは異なるものの)被写体までの距離には関係しない事も分かります。

なお上のチャートは85mm F1.2の場合ですが、どんなレンズで合ってもこの傾向は変わりません。

結論

そんな訳で、被写体を積極的にボカしたいのであれば、できれば背景は5m程度まで離した方が良いと言えます。

ただし、かと言って10m以上離すのは無駄とも言えます。

このため、もし背景を極力ボカしたいのであれば、できる事なら被写体と背景は5m程度まで離した方が良いと言うのは、覚えておいて損はないでしょう。