ISO感度を上げて、且つ絞って撮るのならばフルサイズ機は不要だ

はじめに

ご存知様に幣サイトにおきましては、画質を良くするためには、極力ISO100にこだわって撮るべきだと主張しています。

そうなると、やっぱり下の動画にコメントしない訳にはいかないでしょう。

詳細は動画をご覧頂くとして、内容はステージ撮影の様な暗所での動体撮影においては、ISO感度を上げる事をためらうなという様な内容です。

では、幣サイトの意見ですが、100%同感です。

実際多少画質が落ちた所で、ブレたりピンボケした写真より余程ましです。

ただし、前もってそれが分かっているのならば、わざわざ重いフルサイズ機など持っていく必要はない、という話がしたかったからです。

下は幣サイトでお馴染みの、カメラの種類別に1画素の大きさを段数表示したものです。

これをご覧頂きます様に、例えば2000万画素のフルサイズ機と同じく2000万画素のマイクロ4/3機の1画素の大きさは2段(4倍)異なります。

という事は、フルサイズ機の方がマイクロ4/3機より2段も感度が良いのですから、当然暗所ではフルサイズ機の方が断然有利です。

と思いきや、被写界深度を考えるとそうではないのです。

フルサイズ機のF8 ISO1600は、マイクロ4/3機のF4 ISO400と全く同じ

例えばですが、ステージ撮影において、2000万画素のフルサイズ機で絞りF8、シャッタスピード1/500秒、ISO1600で撮ったとします。

フルサイズで2000万画素のNikon D6

次に同じく2000万画素のマイクロ4/3機に、フルサイズ機と同じ画角になるレンズを付けて同じ露出設定(F8、1/500秒、ISO1600)で撮ったとします。

マイクロ4/3で2000万画素のOM SYSTEM OM-1

そして、撮った2枚の写真を見比べたらどうなりますでしょうか。

当然ながら、フルサイズ機の方が高感度なので、同じISO感度で撮った場合、マイクロ4/3機より2段分画質が良くなります。

そしてもう一つ忘れてならない事があります。

それは同じ画角の同じ絞り値であったら、マイクロ4/3機の方が2段分被写界深度が深い写真が撮れているという事です。

そこでマイクロ4/3機において、フルサイズ機と同じ被写界深度にしたとします。

するとマイクロ4/3機の露出設定は、絞りF4となり、シャッタスピード1/500秒、ISO400で撮ることになります。

フルサイズ機はISO1600でマイクロ4/3機はISO400ですので、これによってフルサイズ機の方が感度が2段上(すなわち画質が2段上)だと言うアドバンテージが無くなってしまうのです。

という事は、何も大きくて重くて高価なフルサイズ機でなくても、マイクロ4/3機で全く同じ写真が撮れてしまうのです。

かと言って、当然ながらマイクロ4/3機でフルサイズ機と同じ写真がいつまでも撮れる訳ではありませんので、もう少し見ておきます。

フルサイズ機のF5.6 ISO800は、マイクロ4/3機のF2.8 ISO200と全く同じ

次にフルサイズ機で絞りF5.6、シャッタスピード1/500秒、ISO800で撮った場合を考えてみます。

そうなると、マイクロ4/3機で同じ被写界深度にすると、絞りF2.8、シャッタスピード1/500秒、ISO200となり、ここまではフルサイズ機と同じ被写界深度で同じ画質の写真が撮れます。

フルサイズ機のF4 ISO400は、マイクロ4/3機のF2.0 ISO100になりカバーできない

次はフルサイズ機で絞りF4、シャッタスピード1/500秒、ISO400で撮った場合を考えてみます。

そうなると、マイクロ4/3機で同じ被写界深度にすると、絞りF2.0、シャッタスピード1/500秒、ISO100となります。

ただし開放値F2.0のレンズは単焦点レンズになり、使えるレンズは限られてきます。

また一般的なマイクロ4/3機の最低常用ISO感度はISO200で、ISO100は拡張ISO感度となり画質はISO200より劣ることになります。

という訳で、フルサイズ機のISO400以下は、マイクロ4/3機ではカバーできない領域と言えます。

すなわち、マイクロ4/3機では、フルサイズ機のISO400以下の高画質は表現できないという事です。

フルサイズ機のF2.8 ISO200は、マイクロ4/3機のF1.4 ISO50になりカバーできない

最後はフルサイズ機で絞りF2.8、シャッタスピード1/500秒、ISO200で撮った場合を考えてみます。

そうなると、マイクロ4/3機で同じ被写界深度にすると、絞りF1.4、シャッタスピード1/500秒、ISO50となります。

また開放値F1.4のレンズはかなり限られてきますので、マイクロ4/3機がカバーできる絞り値はこの辺りまでと言えそうです。

という訳で、フルサイズ機のF2.8以下は、マイクロ4/3機ではカバーできない領域と言えます。

まとめ

まとめますと、以下の様になります。

①ステージ撮影の様に、暗所でブレやボケを防ぐためには、シャッタスピードを速くして、絞りを絞って、ISO感度を上げなければならない。

②その様な場合、何もフルサイズ機でなくても、マイクロ4/3機でも同じ写真が撮れる場合がある。

③具体的には、フルサイズ機でISO800以上にして、且つ絞りをF2.8より絞って撮る場合は、同じ画素数のマイクロ4/3機(その場合、ISO200の絞りF1.4)で撮れてしまう。

④同じ理屈で、ISO250以上にして、且つ絞りをF2より絞ってと撮る場合、同じ画素数のAPS-Cサイズ機(その場合、ISO100の絞りF1.4)で撮れてしまう。

すなわち折角高いフルサイズ機を購入しても、歩留まりを上げるためにISO感度を上げて絞り気味で使うと、結局小サイズ機で撮るのと同じになってしまうという事です。