カメラメーカーの商品戦略(ソニー編)

ソニーの攻めの姿勢は凄まじいものがあります。

確かにソニーが(コニカミノルタのカメラ事業を吸収して)一眼レフに進出してからは、他社に追い付くのに必死という感じでした。

プロ用一眼レフとして開発されたソニーのα900

実際プロ用として開発されたα900は、ミノルタとソニーの技術の集大成といった感じだったのですが、いきなりニコンやキヤノンに食い込める訳がありません。

またフルサイズで世界初となるミラーレスカメラにおいては、残念ながら何だこりゃと言った感じでした。

まともにピントが合わなかった初代α7S

何しろ初期のα7シリーズは、被写界深度の浅い明るい単焦点レンズを付けると、まともにピントが合わなかったのですから。

当初から瞳検知を売りにしていたのですが、瞳を検知していても、そこにピントが合わなければ何の意味もありません。

初代α7の瞳AFのイメージ画像

ただしのα7シリーズで目を惹いたのは、同じ筐体に画素数の異なる3種類の撮像素子を搭載した事と、レンズマウントの仕様を他社に開示してサードパーティー製レンズを許容した事、それに新機種投入後も旧型機も暫く併売した事です。

多少のリスクを負ってでも、マーケットシェアを上げるためにはできる事は何でもしたと言った感じです。

それはともかく、3台目のα7 III以降の進歩は目覚ましいものがあります。

完成度が一気に高まったα7 III

また当初は、マウント径の小ささからF1.2クラスのレンズは作れないだろうと囁かれていたのですが、それも2021年に発売されたFE 50mm F1.2 GMの登場で取り敢えず払拭されました。

2021/4に発売されたFE 50mm F1.2 GM

ではそのソニーの商品戦略は何かと言えば、次機種には惜しみなくどんどん新技術を投入してくる事でしょう。

典型的な例がα7S IIIの撮像素子を流用したZV-E1でしょう。

この1200万画素の撮像素子は、これら以外にも計4機種で使われています。

α7S III
1210万画素
2020/10

1210万画素
2020/12

1210万画素
2021/3

ZV-E1
1210万画素
2023/4

ところがこの一番末席のZV-E1においては、上位機種が搭載しなかったAIプロセッシングユニット美肌モードを搭載し、更にはクアッドベイヤーのデュアル解像度機能を利用したダイナミックアクティブモードと呼ばれる強力な電子手振れ補正機能まで搭載してきたのです。

厳しい階層構造を旨とするキヤノンでしたら、カニバルを恐れて決してやらない事でしょう。

ついでに言えば、動画対応としてパワーズームレンズが豊富にあるのも先見の明があるとも言えます。

FE PZ 16-35mm F4 G
2022/5

FE PZ 28-135mm F4 G OSS
2014/12

E PZ 10-20mm F4 G
2022/6

E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS
2013/2

E PZ 18-105mm F4 G OSS
2013/12

また最近発表されたα9 IIIにおいては、他社に先駆けてついにグローバルシャッターを搭載してきました。

グローバルシャッターを搭載したα9 III

未だ時期尚早との思いがあるものの、今の時点でこれを出したのは、快挙と言って良いでしょう。

よく経営陣が許してくれたものです。

売れる売れないはともかくとして、これだけで既にソニーはキヤノンを超えたと言って良いかもしれません。

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