NDフィルターを付けたら、ストロボの光量はどうなるのか?

2021/09/14(火):発行
2021/10/11(月):更新

 

過去2回、日中シンクロにおけるストロボの光量の話をしてきましたが、いよいよ佳境に近付いてまいりました。

今回はレンズにNDフィルターを付けて撮る場合、ストロボの光量は増やす必要があるかどうかについて考えてみます。

レンズにNDフィルターを付けたら、ストロボの光量はどうなる

レンズにNDフィルターを付ければ当然光量が減るので、ストロボの光量は増やさなければいけないと思うものの、NDフィルターを付けた事により絞りを開けたりするので、変わらない様な気もしないではありません。

結論を先にお伝えすると、NDフィルターを付ける事によって、(暗くなった分)絞りを開けたりISO感度を上げたりした場合、ストロボの光量は変わりません。

ただしシャッタースピードを遅くすると、NDフィルター分光量をアップしなければならなりません

なぜそうなるか、これから分かり易くご説明します。

NDフィルターが無いとき

先ずは初期状態であるNDフィルターが無い場合の日中シンクロを考えてみます。

下の写真をご覧下さい。

1/160秒 F10 ISO100(EV14)

これは真夏のビーチでシャッタースピード1/160秒、絞りF10ISO100で撮った人物写真です。

広角で撮ったので人物までの距離は、2mという事にしておきましょう。

この逆光気味の人物をストロボを焚いて明るくして撮る場合、丁度良いストロボの光量(ガイドナンバー)は、距離2mに絞り値のF10を掛けたGN20(2×10)になります。

絞りを開ける場合

それでは次に、光量を半分に(2段)落とすND2フィルターを付けて、その分絞りを1段開けた場合を考えてみます。

絞りを1段開けるので、絞りはF10からF7.1になります。

被写体までの距離が2mだとすると、ガイドナンバーは7.1×2のGN14になり、NDフィルターを付ける前のガイドナンバーGN20(10×2)から比べると小さくて済みます。

と言いたい所ですが、レンズに入ってくるストロボの光はND2フィルターによって1段分減りますので、この分の光量を補わなければなりません。

ではガイドナンバー14の光量を1段分アップするといくつになるかと言えば、これを1.4倍(正確には√2倍)してGN20になるという訳です。

驚かれるかもしれませんが、同じ露出の写真であればどんなに濃いNDフィルターを付けても、絞りを開けて調整する限りストロボの光量は変わらないのです。

NDフィルターを付けても、その分絞りを開ければ入ってくる光量は同じ

これは上の図にあります様に、NDフィルターを付けても、その分絞りを開ける事になるので、レンズに入ってくる光は外光もストロボの反射光も同じになると言えば、ご納得頂ける事でしょう。

ISO感度を上げる場合

ところでNDフィルターを付けた場合、絞りを開けずにISO感度を上げる手もありますので、これについても考えておきましょう。

1/160秒 F10 ISO100(EV14)

この場合絞りはF10のままで、距離は2mですので、ガイドナンバーは20のままです。

ただしND2フィルターによって1段分ストロボの光量は減りますので、それを補うためにガイドナンバーはその1.4倍の28が必要になります。

このため、ストロボの光量は増やさなければいけない、と言いたい所ですがそうではありません。

ISO感度を1段上げると、ガイドナンバーも必然的に1.4倍に増えるのです。

カメラに内蔵されている小型ストロボでも、ISO感度を上げると遠くまで光が届くのはこれが理由です。

ですからガイドナンバー28を再度1.4で割って、結局元の20で済むのです。

すなわちNDフィルターを付けても、その分ISO感度を上げれば、ストロボの光量は変わらないのです。

説明が今一なので、何かキツネにつままれた様な気分かもしれませんが、これが事実です。

下の図にあります様に、ISO感度を上げれば実質的にストロボの光量を上げた事になるので、NDフィルターで光量が減った分を補えると言えば何となく分かって頂けるでしょうか。

NDフィルターを付けても、その分ISO感度を上げれば露光量は同じ

そんな訳で、どんなに濃いNDフィルターを付けても、露出が同じであればストロボの光量は常に変わらない、と言いたい所ですがこれも間違いです。

シャッタースピードを調整する

例外はシャッタースピードです。

ND2フィルターを付けた事によって、シャッタースピードを1/80秒にしたとします。

すると背景の明るさは変わらないものの、閃光であるストロボの光量だけは(シャッタースピードの影響を受けずに)ND2フィルターによって1段分減らされるのです。

NDフィルターを付けた分シャッタースピードを遅くすると、ストロボの光量は足りなくなる

これを補うために、ガイドナンバーは1.4倍の28が必要になるのです。

すなわちNDフィルターを付けて、その分シャッタースピードを遅くしても、ストロボの光量は増やさなければならないのです。

まとめ

以上をまとめますと、どんなに濃いNDフィルターを付けても、絞りとISO感度を調整する限りストロボの光量は変わらない。

ただしシャッタースピードを遅くすると、NDフィルター分光量をアップしなければならない、という事になります。

ご理解頂けましたでしょうか?